2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒトSLE関連多型部位に見出された新たなFc受容体会合モチーフの解析
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23591459
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 善一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70238814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 浩章 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40245064)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Fc受容体 / 膜貫通ドメイン |
Research Abstract |
我々はヒトSLE発症のリスクを与える、抑制型Fc受容体、FcγRIIBの膜貫通ドメイン構造多型、FcγRIIB_I232Tの機能解析を行い、SLE患者に集積するFcγRIIB_232Tアレル産物が抑制機能を欠いた無機能型変異体であることを報告した。Fcγ受容体細胞外ドメインを架橋すると受容体が規則的に会合し機能的高次構造をとる可能性があるが、その実態は知られていない。また、細胞内にシグナルを伝える必要性から、膜貫通ドメインが何らかの役割をはたすはずだが、その機構は解明されていない。上記のFcγRIIBの膜貫通ドメイン多型は機能的高次構造の存在、その生成過程における膜貫通ドメインの関与を示唆する。我々はFcγRII受容体が膜貫通ドメインで部位特異的に会合しホモダイマーを形成して、機能的高次構造を形成すると仮定した。この仮説を検証するために、膜貫通ドメイン全長の系統的システイン置換体を作成してB細胞に導入し、ジスルフィド結合を介する2量体形成を観察した。さらに、2量体形成を抑制することを指標として会合に重要なモチーフを抽出した。これらの結果、細胞外膜近傍のドメイン(グループ1)、膜貫通ドメイン細胞外側(2)及び細胞内側(3)の3カ所に重要な会合モチーフを見出した(発表準備中)。これらは2カ所以上で同時に会合できるので、架橋時に膜貫通ドメインは密接に集合し、αヘリックスの束を形成する。この過程が、受容体の機能、細胞内再分布に必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FcγRII受容体が膜貫通ドメインで部位特異的に会合しホモダイマーを形成する、という当初の仮説を納得の行く水準で証明した。見出された結果は受容体の構造機能相関を考える上で重要な視点をあたえると考えている。構造生物学的手法の導入、抑制型受容体の疾患関連多型の解析が残っており、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
抑制型受容体多型、FcγRIIB_I232Tに、これまでの検討で得た情報を還元し、本受容体の膜貫通部会合部位の同定、機能的意義の解明、さらにI232T多型が分子会合、機能に与える影響を解析して、疾患関連多型の構造機能相関を深く洞察する。見出されたモチーフはFcγRIIのみに見出されるのでなく、多くの免疫受容体、代謝受容体にも存在する。これらを網羅的に解析し、架橋による受容体会合、機能発現の一般的なメカニズムを理解する。構造生物学者との連携をおこない、分子動力学的解析、核磁気共鳴法、等を導入してより詳細な分子間会合、高次構造の解析を行う予定である。FcγRIIB_I232Tノックインマウスを作製し、ヒト病態に近いマウスモデルを作製して、生体レベルでの機能変化を理解する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗状況は以上の様に順調であるが、研究代表者が東京大学附属病院(講師職)からお茶の水女子大学ラウ不サイエンス部門、保健管理センター兼任(教授職)に異動し研究室移転を行なったため、一時試薬購入が減少、次年度使用額が生じた。極めて多数の変異受容体作成、細胞導入、機能解析をおこなうため、分子生物学的試薬、培養器部試薬、生化学的試薬、抗体類を購入する。マウスモデル実験のため、飼育ケージ維持、飼料、遺伝子型判別、病理検索に研究費を用いる。
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