2011 Fiscal Year Research-status Report
サイトカイン網羅解析による膠原病性肺高血圧・レイノー症状の病態解析
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23591462
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萩原 圭祐 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (60423183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 浩之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90363499)
田中 敏郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40273651)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 |
Research Abstract |
昨年度は、研究協力者である国立病院機構岡山医療センターの松原広己先生の協力により、原発性肺高血圧症患者と膠原病性肺高血圧症患者の血清サンプルを使い、両群のサイトカインプロファイリングを比較検討した。対象は、当科で診断された膠原病性肺高血圧症の患者群11例(SSc 6, PM2, RA2, SLE1 61.7±8.4才, 男/女:1/9、)、国立病院機構岡山医療センター循環器内科の患者群14例(IPAH5, CTEPH9, 53.2±19.8才, 男/女:4/10)。各群の臨床指標、血清中のサイトカインをBio-Plex cytokine array(27-plex, 21-plex)を用いて検討した。両群で、平均肺動脈圧(25.5±6.6 vs.52.6±30.3mmHg, p=0.0002), 肺血管抵抗(142.0±72.8vs.981.5±495.6 dyne*sec*cm-5, p<0.0001)に有意差を認めたが、6分間歩行,BNPでは有意差は認めなかった。サイトカインの網羅解析では、IL-7, IL-8, Eotaxin, IL-12p40, IL-16, TRAIL, HGF, IFN-α2で両群に有意差を認め、各臨床指標との相関性は、Borg scaleはIFN-α2(R0.53, p=0.009),PCWPはMCP-1(R0.60, p<0.0001)と正相関、PVRはEotaxin(R0.59,p=0.0213)と逆相関を示し、年齢、BMIで調整後も有意であった。解析結果を、平成24年日本リウマチ学会で、成果を発表する予定である。ボセンタンとタダラフィルの比較試験は、平成23年度の予算決定が遅れたため、平成24年度の冬に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研費研究で予定していた課題は、以下の二つである。1)膠原病性PAH患者に合併するレイノー症状に対するボセンタンとPDE-5阻害薬との前向き無作為比較試験2)原発性PAH患者と膠原病性PAHとのサイトカインプロファイルを比較検討1)に関しては、予算執行が、平成23年度は遅れたため、試験の開始を平成24年度に変更した。その間に、次世代シークエンサーの設備が大阪大学で充実したことから、次世代シークエンサーによるRNAseqを解析に加えるべく準備を進めている。現在、上記内容を追加して、倫理委員会での承認を待っているところである。1)の準備期間の間に、2)の研究課題を行った。原発性PAH患者と膠原病性PAHのサイトカインプロファイリングを比較検討するために、日本の肺高血圧診療において、患者数、治療実績ともにトップクラスである国立病院機構岡山医療センター循環器内科松原広己氏に研究協力してもらい、サンプル提供を受け、解析をおこなった。評価方法としては、スクリーニング時期におこなった肺高血圧の臨床評価である(i)6分間歩行テスト、(ii)Borg scale、(iii)WHO機能分類、(iv)心エコー、(v)BNPに加えて、画像検査、血液性化学データーなどの臨床データーの蓄積に加えて、Bio-Plexを用いたサイトカイン網羅解析を行う。これらの項目とサイトカインのデーターをあわせて、多変量解析行い、PAH病態形成に相関性の高いサイトカインを検索した。結果は上記のとおりである。1)の研究課題が当初よりやや遅れているが、24年度には実施する予定であるので、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
膠原病性PAH患者に合併するレイノー症状に対するボセンタンとPDE-5阻害薬との前向き無作為比較試験を中心に研究を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
膠原病性PAH患者に合併するレイノー症状に対するボセンタンとPDE-5阻害薬との前向き無作為比較試験の患者検体を収集し、Bio-Plexサイトカインアレイによるサイトカイン網羅解析、Taqman Low density arrayを用いた免疫関連遺伝子の網羅的解析に使用していく予定である。この試験計画での予算執行状況に応じて、原発性肺高血圧症患者とのプロファイリング比較を追加で行う予定である。
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