2012 Fiscal Year Research-status Report
サイトカイン網羅解析による膠原病性肺高血圧・レイノー症状の病態解析
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23591462
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萩原 圭祐 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60423183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 浩之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90363499)
田中 敏郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40273651)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
原発性PAH患者と膠原病性PAHのサイトカインプロファイリングを比較検討し、その病態の鑑別が可能であるかどうかを検討した。対象は、当科で診断された膠原病性肺高血圧症の患者群11例(SSc 6, PM2, RA2, SLE1 61.7±8.4才, 男/女:1/9、)、国立病院機構岡山医療センター循環器内科の患者群14例(IPAH5, CTEPH9, 53.2±19.8才, 男/女:4/10)。各群の臨床指標、血清中のサイトカインをBio-Plex cytokine array(27-plex, 21-plex)を用いて検討した。 結果:両群で、mPA(25.5±6.6 vs.52.6±30.3mmHg, p=0.0002), PVR(142.0±72.8vs.981.5±495.6 dyne*sec*cm-5, p<0.0001)に有意差を認めたが、6MW,BNPでは有意差は認めなかった。サイトカインの網羅解析では、IL-7, IL-8, Eotaxin, IL-12p40, IL-16, TRAIL, HGF (553.6±485.4 vs.8392.9±11187.8pg/ml, p=0.0209), IFN-α2で両群に有意差を認め、各臨床指標との相関性は、Borg scaleはIFN-α2(R0.53, p=0.009),PCWPはMCP-1(R0.60, p<0.0001)と正相関、PVRはEotaxin(R0.59,p=0.0213)と逆相関を示し、年齢、BMIで調整後も有意であった。6MWは%DLCO,mPAはΔPと相関を示した。年齢、HGF、SCGFβを用いて、ロジスティック回帰分析したところ,膠原病性、IPAH、CETPHの誤判別率が4%(1/25) を示し(R0.797,p<0.0001)、3群の鑑別が、サイトカイン測定により可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.膠原病性PAH 患者に合併するレイノー症状に対するボセンタンとPDE-5 阻害薬との 前向き無作為比較試験において、大阪大学の自主臨床研究の倫理委員会において、RNAの網羅的な解析が、ゲノム審査の必要があると判断され、当初、24年度秋に開始していた試験が、承認がずれ込んでしまった。レイノー症状は季節の影響が大きく、平成25年度秋に試験を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
膠原病性PAH 患者に合併するレイノー症状に対するボセンタンとPDE-5 阻害薬との 前向き無作為比較試験【適応基準】下記の基準を満たす当院外来受診中ならびに入院中の患者。1)PAH にレイノー症状を合併する膠原病患者で本試験への参加に同意する患者 【評価項目】(1)主要評価項目(a)レイノー症状の臨床評価(i)VAS、(ii)手帳を用いた発作回数の記録(iii)SF-36 を用いたQOL アンケート調査、(iv)サーモグラフィーによる冷水負荷試験前後での手指温度(b)Bio-Plex を用いたサイトカイン網羅解析(c) Taqman Low density array(2)副次的評価項目(a)肺高血圧の臨床評価(i)6 分間歩行テスト、(ii)Borg scale、(iii)WHO 機能分類、(iv)心エコー、(v)BNP 【用法・用量】投与開始から4 週間は62.5mg を1 日2 回朝夕食後に経口投与する。投与5 週目に安全性を確認し、原則として125mg を1 日2 回朝夕食後に経口投与する。体重、状態等を考慮し適宜増量する。【評価期間】投与開始前、4 週後、24 週後 一群10-20 例×2合計20-40 例の投与を予定している。前回の解析において、5 例で有意差が出ていることから、この症例数は、今回の解析には十分なサンプル数と思われる。基本的な試験デザインとしては、スクリーニング期間を経て、無作為に割り付け、ボセンタンまたはPDE-5 阻害剤投与を開始する。ボセンタンは62.5mg より内服を開始し、6ヶ月投与したところで、臨床評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
循環器患者とのサイトカインプロファイリングに関してはすでに比較終了したので、 今後はこの臨床試験にすべて研究費を投入する予定である。
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