2011 Fiscal Year Research-status Report
マトリックスタンパク質による新規のアレルギー性炎症機序の解明
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23591465
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
出原 賢治 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 和彦 佐賀大学, 医学部, 講師 (60336112)
鈴木 章一 佐賀大学, 医学部, 助教 (40253695)
白石 裕士 佐賀大学, 医学部, 助教 (80452837)
太田 昭一郎 佐賀大学, 医学部, 助教 (20346886)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
Th2型免疫反応はアレルギー炎症惹起に重要であるが、その分子機序には不明な点が多い。我々は,これまでTh2型サイトカインであるIL-4やIL-13の誘導産物であり,細胞外マトリックスタンパク質であるペリオスチンが,アレルギー炎症の発症機序において重要な役割を果たしていることを明らかにしている。本研究では,ペリオスチンを中心とした炎症増幅・遷延化経路の分子的機序をさらに明らかにすること,ペリオスチンとその受容体であるインテグリンの結合を標的とした阻害剤を作製してアレルギー疾患に対する治療薬の開発につなげること,さらにはペリオスチンが関与している疾患の解析を目的としている。当該年度の研究において,ペリオスチンが,間質性肺炎,強皮症,IgG4関連性硬化性唾液腺炎,慢性副鼻啌炎,好酸球性中耳炎,増殖糖尿病網膜症,胆管細胞癌など数多くのアレルギー性疾患以外の炎症性疾患に関与していることを明らかにした。また,ペリオスチンは,創傷治癒機序に重要な役割を果たしており,これがペリオスチンの生理的作用の一つとなっていることも見出した。さらに,間質性肺炎モデルマウスを用いた解析により,ペリオスチンは線維芽細胞に作用してケモカイン,炎症性サイトカインの産生を誘導し,それが炎症細胞の浸潤とそれに引き続く肺線維化につながることを明らかにした。また,創傷治癒モデルマウスを用いた解析により,ペリオスチンは線維芽細胞の増殖を誘導することも見出した。このように,ペリオスチンは幅広く炎症疾患の発症に関与しているとともに,線維芽細胞に対する作用がその分子機序の一つであることを明らかにすることができた。これらの結果は,ペリオスチンを標的とした治療薬の開発が,アレルギー疾患以外の炎症性疾患にも適用される可能性があること,その作用部位として線維芽細胞への結合が含まれることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,(1)ペリオスチンを中心とした炎症増幅・遷延化経路の分子的機序をさらに明らかにすること,(2)ペリオスチンとその受容体であるインテグリンの結合を標的とした阻害剤を作製してアレルギー疾患に対する治療薬の開発につなげること,(3)ペリオスチンが関与している疾患の解析である。(1)については,ペリオスチンが線維芽細胞に作用して,細胞増殖,ケモカイン,炎症性サイトカインの産生を誘導することを明らかにし,一定程度の目的を達成することができた。(3)については,間質性肺炎,強皮症,IgG4関連性硬化性唾液腺炎,慢性副鼻啌炎,好酸球性中耳炎,増殖糖尿病網膜症,胆管細胞癌など数多くのアレルギー性疾患以外の炎症性疾患に関与していることを明らかにし,大きな進展を示すことができた。(2)については,現在も研究を進めており,まだ目的を達成するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的において,(1)「ペリオスチンを中心とした炎症増幅・遷延化経路の分子的機序をさらに明らかにすること」については,ケラチノサイトに焦点を当てて,ペリオスチンによる増殖・炎症増強についての分子機序を明らかにすることを目指す。(2)「ペリオスチンとその受容体であるインテグリンの結合を標的とした阻害剤を作製してアレルギー疾患に対する治療薬の開発につなげること」については,さらに抗体作製を進めて強い中和作用を持つハイブリドーマの樹立を目指す。また,ペリオスチンの受容体がインテグリン以外である可能性も考慮して,ペリオスチンと強い結合能力を示すタンパク質の同定を目指す。(3)「ペリオスチンが関与している疾患の解析」については,さらに共同研究を進めて対象疾患を増やすことを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度(平成24年度)の交付予定額は195万円(直接経費:150万円,間接経費:45万円)となっている。直接経費の費目別内訳は,物品費:80万円,旅費:35万円,人件費・謝金:20万円,その他:15万円の予定である。物品費の内訳は,動物:20万円,酵素・抗体:30万円,プラスチック製品:20万円,血清:5万円,オリゴヌクレオチド:5万円である。旅費の内訳は,全て成果発表を目的としており,国内旅費:15万円,外国旅費:20万円である。人件費・謝金の内訳は,全て研究補助を目的としている。その他の内訳は,通信運搬費:10万円,研究成果投稿料:5万円としている。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Periostin, a matricellular protein, plays a role in the induction of chemokines in pulmonary fibrosis2012
Author(s)
Uchida M, Shiraishi H, Ohta S, Arima K, Taniguchi K, Suzuki S, Okamoto M, Ahlfeld SK, Ohshima K, Kato S, Toda S, Sagara H, Aizawa H, Hoshino T, Conway SJ, Hayashi S, Izuhara K
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Journal Title
American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology
Volume: 不明
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Journal Article] Periostin, a matricellular protein, accelerates cutaneous wound repair by activating dermal fibroblasts2012
Author(s)
Ontsuka K, Kotobuki Y, Shiraishi H, Serada S, Ohta S, Tanemura A, Yang L, Fujimoto M, Arima K, Suzuki S, Murota H, Toda S, Kudo A, Conway SJ, Narisawa Y, Katayama I,
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Journal Title
Exp Dermatol
Volume: 不明
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Journal Article] Periostin, a matrix protein, has potential as a novel serodiagnostic marker for cholangiocarcinoma2011
Author(s)
Fujimoto K, Kawaguchi T, Nakashima O, Ono J, Ohta S, Kawaguchi A, Tonan T, Ohshima K, Yano H, Hayabuchi N, Izuhara K, Sata M
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Journal Title
Oncol Rep
Volume: vol.25
Pages: 1211-1216
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Periostin, a matrix protein, is a novel biomarker for idiopathic interstitial pneumonias2011
Author(s)
Okamoto M, Hoshino T, Kitasato Y, Sakazaki Y, Kawayama T, Fujimoto K, Ohshima K, Shiraishi H, Uchida M, Ono J, Ohta S, Kato S, Izuhara K, Aizawa H
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Journal Title
Eur Respir J
Volume: vol.37
Pages: 1119-1127
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Increased expression of periostin in vitreous and fibrovascular membranes obtained from patients with proliferative diabetic retinopathy2011
Author(s)
Yoshida S, Ishikawa K, Asato R, Arima M, Sassa Y, Yoshida A, Yoshikawa H, Narukawa K, Obika S, Ono J, Ohta S, Izuhara K, Kono T, Ishibashi T
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Journal Title
Invest Ophthalmol Vis Sci
Volume: vol.52
Pages: 5670-5678
DOI
Peer Reviewed
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