2011 Fiscal Year Research-status Report
気管支喘息重症化に関わる気道リモデリングの成立機構解明:上皮間葉移行制御
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23591471
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構三重病院(臨床研究部) |
Principal Investigator |
藤澤 隆夫 独立行政法人国立病院機構三重病院(臨床研究部), その他部局等, 教授 (20511140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細木 興亜 独立行政法人国立病院機構三重病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (90422831)
戸田 雅昭 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10202201)
GABAZZA Esteban 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00293770)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 気道リモデリング / 好酸球 / 上皮間葉移行 / 喘息 / TGF-β1 |
Research Abstract |
好酸球性白血病細胞(EoL-1)ないし健常成人ボランティアより採取・分離(CD14, 16 negative selection法)したヒト好酸球と気道上皮細胞(BEAS-2B cells)を共培養し、光学顕微鏡にて気道上皮細胞の形態学的変化を調べた。気道上皮細胞はEoL-1ないしヒト好酸球との共培養にて、形態が敷石状から紡錘状に変化した。また気道上皮細胞BEAS-2BとEoL-1/ヒト好酸球の共培養群は、気道上皮細胞単独群、Eol-1/ヒト好酸球単独群と比較して、明らかな培養上清中のTGF-β1の濃度上昇がみられた。これにともなって気道上皮細胞とEoL-1/ヒト好酸球の共培養群では、気道上皮細胞における上皮系マーカーの低下と間葉系マーカーの上昇を遺伝子レベル、タンパクレベルで認めた(Western blotting法;上皮系マーカー E-cadherin、間葉系マーカー Vimentin、real time PCR法、上皮系マーカー E-cadherin、間葉系マーカー α-SMA)。従って気道上皮細胞はEoL-1ないしヒト好酸球により、上皮間葉移行(EMT)を起こすことを形態学的にも遺伝子・タンパクレベルにても確認できた。更にboyden chamberを用いて、気道上皮細胞BEAS-2BとEoL-1ないしヒト好酸球を直接接触させずに共培養した。その結果、形態学的変化は認められず、培養上清中のTGF-β1濃度の上昇も認めなかった。従って、この系における気道上皮細胞が起こすEMTはEoL-1ないしヒト好酸球のdirect contactが必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の計画に沿って好酸球性白血病細胞(EoL-1)ないしCD16 negative selection法にて分離したヒト好酸球が気道上皮細胞(BEAS-2B cells)に及ぼす影響について検討した。 Eol-1ないしヒト好酸球と気道上皮細胞を共培養し、光学顕微鏡にて気道上皮細胞の形態を調べた。光学顕微鏡、免疫染色共に上皮間葉移行(EMT)と考えられる敷石状から紡錘状への形態学的変化を確認できた。共培養後の上清を回収し、EMTを誘導するサイトカイン(TGF-β1)をELISA法にて測定したところ、共培養群はそれぞれの細胞単独群に比べ上清中のTGF-β1濃度が著しく上昇していた。EMTに特徴的な上皮系マーカーの低下、並びに間葉系マーカーの上昇を各種タンパク、遺伝子レベルで調べたところ、Eol-1ないしヒト好酸球と気道上皮細胞を共培養した本実験系ではE-cadherin、Vimentin、α-SMAがEMTの評価に有効なマーカーであることを見出した。これにより本実験系におけるEMTを形態、タンパク・遺伝子にて適切に評価することが可能となった。更にboyden chamberを用いて上記実験を行ったところ、Eol-1ないしヒト好酸球による気道上皮細胞のEMTにはこれら細胞のdirect contactが必要であることを確認した。以上よりEol-1ないしヒト好酸球‐気道上皮細胞共培養実験系におけるEMT評価方法の確立を目指した平成23年度の計画は概ね達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は好酸球性白血病細胞(EoL-1)とヒト好酸球が誘導する上皮間葉移行(EMT)の機序の解明を目指す。EMTはTGF-β依存性のことが多く、まず本実験系におけるEMTのTGF-β依存性を抗TGF-β中和抗体を用いて確認する。更にEMTにおける TGF-βの細胞内シグナルはSMAD2/3依存性といった報告や、SMAD非依存性(p38 MAPK, ERK1/2依存性)といった報告がなされており、平成23年度に確立したEMTの評価法(形態評価、Western blotting法、RT-PCR法)にて、各種シグナルの抑制剤を使用することにより、本系の主要な細胞内シグナルを明らかにする。その検討に基づき、EMTを抑制する有効な方法を探索する。EMTがTGF-β非依存性であれば、その他報告されているEMT誘導因子の検出、抑制を試み、その後上記と同様の方法にて細胞内シグナルを調べる。また本実験系ではdirect contactが重要なことが判明したため、接着因子についても検討する。平成25年度はin vitroの結果から得た知見を基に、野生型マウスを用いて好酸球が気道上皮細胞にEMTを引き起こすin vivoの実験系の確立を目指す。野生型マウスの骨髄細胞を分離し、IL-5、SCF、Flt3 ligandを用いた好酸球精製培養法にて多量の好酸球を生成し、野生型マウスの気管内に投与する。血液、気管支肺胞洗浄液(BALF)、肺組織を採取し、血液はサイトカイン、ケモカインを、BALFは炎症細胞数とその内訳、サイトカイン、ケモカインを測定する。肺組織は色素染色、免疫染色、蛍光免疫染色を行い、炎症、線維化、EMTを評価する。この方法により気管内好酸球由来EMT in vivoモデルの確立を目指す。 平成23年度の研究計画は概ね遂行できたため現時点で研究計画の変更の予定はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費使用計画として、物品費は主に研究試薬と消耗品(培養用試薬、抗TGF-β抗体、抗接着因子抗体、各種細胞内シグナル抑制剤、Western blotting用試薬、RT-PCR用試薬など)に費やす予定である。旅費は国内学会発表のため、人件費・謝金は研究協力者(主に血液提供者)に対する図書カード購入に充てる予定である。
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