2012 Fiscal Year Research-status Report
バイオフィルム産生の各種多剤耐性菌感染症に対する抗菌化学療法の検討
Project/Area Number |
23591472
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
藤村 茂 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (70295393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 彰 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70220861)
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Keywords | biofilm / MRSA / daptomycin |
Research Abstract |
各種耐性菌によって形成されたbiofilmに対し、マクロライド系薬のクラリスロマイシン(CAM)とアジスロマイシン(AZM)のbiofilm破壊能を検討した。対象菌株は、いずれも臨床分離株であり菌種は、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)、βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性Haemophilus influenzae(BLNAR)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、2剤耐性Acinetobacter baumannii (MDRA)とした。A.baumanniiは、感染症法に規定されている多剤耐性株が入手できなかったため、β-ラクタム系薬とキノロン系薬の2剤耐性株を用いてbiofilm形成およびマクロライド系薬による除去能を測定した。各種菌株によって形成されたbiofilmに対してマクロライド系薬を各1, 10, 100μg/mLで処理したところ、MRSA株と BLNAR株が形成したbiofilmに対し3濃度とも40%程度除去された。MDRP、MDRA、PRSPに対し濃度依存的に除去率は上昇し100μg/mL で50%程度除去されたが、血漿中濃度に近い1μg/mLでは、いずれも10%以下であり、臨床的biofilm除去効果は低いと考察された。細菌によるBiofilm産生は、人工関節や心臓の人工弁、人工呼吸器など医療用デバイスの装着がリスク因子であり、MRSAは整形外科や心臓血管外科、呼吸器内科領域で特に注意が必要である。そこで今回、biofilm除去能が最も高かったMRSAを対象に、デバイス感染のin vitroモデルを作成し、抗MRSA薬とマクロライド系薬の併用によるデバイス上のbiofilm形成MRSAの除去(除菌)効果を検討し、塩酸バンコマイシンとの併用が、24時間で優れた除菌効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度が最終年度となるが、秋ごろには国際学会での報告を予定しており、実験データが順調に出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる今年度は新規抗MRSA薬のダプトマイシンを併用した除去効果を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ダプトマイシンを用いた実験は、これまでのバンコマイシンと同様の消耗品で対応可能である。したがって、研究費は、国際学会等の旅費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)