2012 Fiscal Year Research-status Report
B群レンサ球菌による周産期感染症発症予防法確立に向けての試み
Project/Area Number |
23591485
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
三鴨 廣繁 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00262775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 由佳 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60512241)
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Keywords | B群溶血性連鎖球菌(GBS) / 周産期感染症 / 早産 / 絨毛膜羊膜炎 / 血清型 / ペニシリン / 耐性菌 / 予防 |
Research Abstract |
平成23年度から平成24年度にかけて実施してきた疫学的研究により、周産期領域では、B群溶血性連鎖球菌(GBS)の血清型Ia, Ib, III、V型が侵襲性感染症を引き起こす可能性が高いこと、周産期GBS感染症発症予防のガイドラインにゴールドスタンダード薬として記載されているペニシリン系抗菌薬に低感受性を示す株も存在することなどが明らかになってきた。疫学研究データによると日本人女性腟内には、GBS血清型VI型、VIII型の常在頻度が高いにもかかわらず、これらの血清型が侵襲性感染症を引き起こす頻度が低い原因を検討することは、将来のGBSワクチン開発にも有用と判断されることから、培養細胞A549を用いてGBSの細胞付着性および侵入性に関して基礎的検討を実施した。実験方法としては羊膜細胞を用いる予定であったが、予備実験において羊膜細胞を用いてGBSの付着試験を行うと羊膜細胞が死滅し、ダメージが大きいため使用する細胞を羊膜細胞からA549に変更して検討した。その結果、GBS血清型VI型やVIII型は、GBS血清型III型と比較して、細胞付着性は有意に高いものの、細胞侵入性は有意に低いことが明らかになった。この事実は、GBS血清型VI型やVIII型は、標的細胞に容易に付着して抗体産生を促す能力が高いが、病原性は低い可能性を示している。ペニシリン低感受性GBSは、日本では女性性器感染症からは分離されていなかったが、我々の検討により日本でもはじめてペニシリン低感受性GBSが分離されたことは特筆すべきことであり今後の経過を観察する必要があると同時に、ペニシリン低感受性GBSの早期検出法を開発する必要性が示唆され、今年度の重要な研究課題の一つとして進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GBSの細胞接着性および細胞侵入性が、血清型により異なることが明らかになり、そのメカニズムについて解明が進んでいる。ペニシリン低感受性GBSに関して、分子生物学的解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
GBSの細胞接着性および侵入性のメカニズムの解明は、GBSワクチンの開発に繋がる可能性が高いため、各血清型によるサイトカイン産生能の違いについて検討を進めていく予定である。ペニシリン低感受性GBSの迅速診断方法について、質量分析法による解析の可能性を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各血清型によるサイトカイン産生能の違いについて検討を進める。ペニシリン低感受性GBSの迅速診断方法について、質量分析法による解析の可能性を検討する。
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Research Products
(5 results)