2012 Fiscal Year Research-status Report
強毒株クロストリディウム・デフィシル菌アウトブレイク防止体制構築についての研究
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23591487
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
芳川 一郎 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (60210655)
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Keywords | クロストリディウム・デフィシル菌 |
Research Abstract |
(材料)2012年2月に実施した試験より得られたクロストリディウム・デフィシル菌61株を対象とした。5株が保存より発育しなかったため、56株を用いて検討した。 (結果)1.cdtAおよびcdtBのPCR両遺伝子はすべて陰性であり、今回検討した56株いずれもbinary toxin非産生株であった。2.tcdCのPCRtcdCは、tcdAおよびtcdBが陰性であった12株は当然陰性であり、これらを除く44株中40株がPCR陽性であった。3.tcdCの塩基配列の決定 tcdC陽性となった40株について塩基配列の決定を行った。tcdA (-), tcdB (+)の24株はすべて、GenBankに登録されているCF5, 630, BI9株のtcdCと100%一致しており、これをB typeとした。tcdA (+), tcdB(+)の16株中15株は、B typeと2ヶ所塩基が異なり、1箇所silent mutationであった。1株は、さらに2ヶ所塩基が異なっていたが、いずれもsilent mutationであった。4.薬剤感受性試験 CLSIに準拠した寒天平板希釈法にて実施した。使用薬剤は、Vancomycin, Metronidazole, Ampicillin, Clindamycin, Levofloxacin, Erythromycinの6薬剤とした。VancomycinのMICはすべて1μg/ml以下、MetronidazoleのMICはすべて0.25μg/ml以下であった。5.Ribotypingの条件検討 Primerおよび基本条件は、Stubbsら(JCM 37(2), 461, 1999)に準じて、DNA量の検討を行った。その結果、100ng/25μL reaction mixtureで実施可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期療養型病院において得られたクロストリディウム・デフィシル菌56株について遺伝子解析を行うことができた。その結果binary toxin産生株は認めなかった。引き続き特定機能病院においてこの菌の保有状況をモニタリングしクロストリディウム・デフィシル菌解析の検討に着手する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)引き続き特定機能病院入院患者より得られた菌株の遺伝子解析を行い、この菌の伝播様式を明らかにする。 2)引き続き特定機能病院におけるクロストリディウム・デフィシル菌起因性下痢の発生率を調査する。 3)引き続き特定機能病院におけるクロストリディウム・デフィシル菌起因性下痢患者の菌株同定と院内感染経路を明らかにする。 4)引き続き特定機能病院におけるクロストリディウム・デフィシル菌起因性下痢患者の菌株の毒素遺伝子変異とbinary toxin産生の有無を検討する。 上記をもとに有効なクロストリディウム・デフィシル菌(強毒株を含む)院内感染対策法を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PCR関連試薬(PCRキット、プライマー)12万円、polyacrylamide gel electrophoresis(PAGE)法関連試薬代金18万円、ribotyping関連試薬代金18万円、薬剤感受性試験関連試薬代金12万円、トキシンチェックキット代金8万円等、研究費のほとんどを検査関連費用として使用する予定である。
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