2013 Fiscal Year Research-status Report
強毒株クロストリディウム・デフィシル菌アウトブレイク防止体制構築についての研究
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23591487
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
芳川 一郎 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (60210655)
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Keywords | クロストリディウム・デフィシル菌 |
Research Abstract |
強毒株クロストリディウム・デフィシル菌アウトブレイク防止体制を構築するために、高齢者長期療養型病院において同菌の保有状況を検討した。1)下痢などの腹部症状を認めていない患者171名(女性68.4%、年齢中央値83歳(43歳~101歳))に対して便培養(クロストリディウム・デフィシル菌分離培養)検査を行った。2)得られた同菌のトキシンA、トキシンB産生をPCR法で検討した。3)同菌の保有のリスク因子を検討するため、今回患者背景を調査し、同菌の保有のリスク因子を検討した。リスク因子として、年齢、性別、BMI、入院日数、入院の原因となった疾患、入院前状況(自宅より入院、介護施設よりの入院、医療施設よりの転院)、人工呼吸器の使用、気管切開、糖尿病合併、褥創、栄養摂取(経口、経鼻栄養、胃瘻)、抗菌薬投与歴、プロトンポンプ阻害薬服用、ヒスタミン受容体拮抗薬服用、プロバイオティクス投与を検討した。 1)61名/171名(35.7%)においてクロストリディウム・デフィシル菌が陽性であった。2)トキシンについてはA-B+26検体、A+B+18検体、A-B-17検体であった。3)クロストリディウム・デフィシル菌保有のリスク因子について多変量解析を行ったところ、唯一プロトンポンプ阻害薬服用が検出された(odds ratio 2.193, 95% confidence interval 1.026-4.687, p=0.043)。予想に反して抗菌薬の使用歴は本検討においては同菌保有のリスク因子ではなかった。 無症候性の同菌の保有者は、同菌による感染症の感染源になる可能性が指摘されており、本結果はアウトブレイク防止体制を構築するために寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在メディカルスタッフのクロストリディウム・デフィシル菌保有状況の調査に着手している。またアウトブレイク防止体制を構築するために特定機能病院のクロストリディウム・デフィシル菌感染症例の分析を行っており、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)引き続き特定機能病院入院患者より得られたクロストリディウム・デフィシル菌の菌株の遺伝子解析を行いこの菌の伝播形式を明らかにする。 2)特定機能病院入院患者のクロストリディウム・デフィシル菌感染症症例の分析、発生率の推移を調査する。症例の背景因子を詳細に分析し、リスク因子を明らかにする。 以上のデータより、クロストリディウム・デフィシル菌アウトブレイク防止体制を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
検査センターに依頼している当該年度における菌株解析費用については、解析中であったため次年度に支払うこととしたため。 1)検査センターにて解析依頼中の検査費用を、次年度に合わせて支払う。 2)次年度のデータ解析費用として使用する。 2)ヨーロッパで本年10月開催されるUnited European Gastroenterology WeekにAsymptomatic carriage of Clostridium difficile in a Japanese long-term care facility for the elderly: prevalence and risk factorsという演題を応募しており、採用された時には渡航費用として使用する。
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