2013 Fiscal Year Annual Research Report
精神ストレスに起因するゲノム可変性からみた発達障害の基盤メカニズムの解明
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23591491
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平澤 孝枝 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (10402083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 健夫 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70293511)
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Keywords | ストレス / 脳機能 / グルココルチコイド |
Research Abstract |
ストレスがGR遺伝子のメチル化を促進することが分かっているがその遺伝子制御と反応との関連性が分かっていない。本研究により以下のことが証明された。1.機能的メカニズムの解明・・・これまでにマウス海馬培養神経細胞にストレスホルモンであるコルチコステロンを投与すると神経細胞の自発的細胞内カルシウムスパイク、同期現象の増加が見られ神経活動の興奮性が活性化する事が分かった。2.遺伝学的調節機構の解明発火現象が増幅したメカニズムを本年度はmRNAと蛋白レベルをreal time-PCR法とウェスタンブロティング法で確認した。その結果NMDA受容体のNR2Aサブユニットの蛋白レベルがコルチコステロン刺激によって増加した。特にNR2Aの蛋白質の発現が有意に増加したため、翻訳阻害剤であるシクロヘキサミド処理を投与した所この発現増加は抑制された。一方でmRNAの発現変化は見られなかった。このとこからCORTは急性(2時間)では翻訳の促進が活性化することが示唆された。3.AMPA受容体やNR1サブユニットの変化は見られなかった。このNR2Aの発現増加によってCORT刺激で見られたCaオシレーションの同期性が引き起こされるのかをNR2A特異的アゴニストであるD-serineを用いてCaイメージング法にて検証した。その結果、D-serine投与後、オシレーションの増加性と同期性が増加し、CORTと同様の作用が検出された。このことから、CORTによる海馬神経細胞の神経活動の活性化はNMDA受容体のNR2Aの翻訳促進にあることが証明された。4.この同期性には興奮性(Glutamate)、抑制性(GABA)のバランスが重要であるが、GABA受容体の一つであるGABAaの阻害薬であるbicuculine投与でも同様の同期性の増加が観察されたが、CORT刺激による蛋白質の発現増加は見られなかった。このためCORTによる同期性の増加やオシレーションの増加は興奮性の神経細胞の活性化が重要であることが示唆された。
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