2011 Fiscal Year Research-status Report
ライソゾーム病に対するケミカルシャペロン療法の細胞内分子機構の解明
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23591498
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
檜垣 克美 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 准教授 (90294321)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ライソゾーム病 / 小児神経 / 脂質代謝異常 / 治療法開発 / ケミカルシャペロン / モデルマウス / コレステロール / リン脂質 |
Research Abstract |
先天性代謝異常症であるライソゾーム病の多くは小児期に重篤な中枢神経障害を主症状に発症する神経難病である。ライソゾーム病の治療法として酵素補充療法や造血幹細胞移植がすでに臨床応用されているが、いずれも血液脳関門により脳病態に対する効果は認められていない。私はこれまで、ライソゾーム病脳障害に対する新規治療法としてケミカルシャペロン療法の開発研究を行い、GM1-ガングリオシドーシス、ゴーシェ病に対し有効性を示す化合物の同定と機能解析を行ってきた。一方で、シャペロン効果は変異型特異的であり、またシャペロン効果の細胞内の分子機構は不明な点が多く、これらを解決することは、今後の新規シャペロン化合物の開発につながると考えている。シャペロン化合物の細胞内取り込みに関し、細胞膜コレステロールとリン脂質の関連性について検討を行った。シクロデキストリンは培養細胞液中に加えると、細胞膜脂質含量を低下するが、予備的な実験の結果ではalpha-, beta- gamma-シクロデキストリンで処理した細胞いずれにおいても有意なシャペロン効果の変動を認めなかった。今後、他のシクロデキストリン誘導体に関し検討することで、細胞膜脂質量とシャペロンの細胞内取り込みとの関連性について詳細に検討を行う。また、蛋白質の疎水性残基に特異的に結合する蛍光色素を用い、試験管内シャペロン効果を正確に測定できる系を構築した。この系はこれまでの試験管内阻害活性と比べ簡便に活性可能であり、新規シャペロン化合物の探索に応用可能と考える。また、酵素基質結合部位以外に結合する新規シャペロン化合物の探索にも応用して行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケミカルシャペロン化合物の細胞内取り込みに関し、細胞膜脂質との関連性についての重要な知見を得ることができた。また、蛍光標識を用いた試験管内でシャペロン活性を測定できる新規実験系を構築し、今後の解析に応用が可能であり、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
シャペロン効果に関連する分子の細胞内機能の解明および、培養細胞に対する治療効果の検討を行う。1. シャペロン効果に関連する候補分子のパスウェイ解析得られたシャペロンシャペロン効果に関連する候補分子に対し、遺伝子機能に基づいたクラス分けをパスウェイ解析により行う。実際の解析は鳥取大学生命機能研究支援センター内に設置されている、インジェヌイティ パスウェイ解析ソフトを用いる。2. シャペロン効果に関連する候補分子の培養細胞系を用いた機能解析GM1-ガングリオシドーシスモデルマウス脳由来初代神経細胞、またはsiRNAによりβ-ガラクトシダーゼ遺伝子発現抑制した培養神経細胞モデルを用い、シャペロン効果に対する候補分子の関連性についての解析を行う。また、既存シャペロン分子に対する相乗効果についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シクロデキストリン誘導体で処理した培養細胞において、シャペロン効果に与える影響を調べることで、細胞膜脂質とシャペロン効果の相関を検討する。また、小胞体でのシャペロン化合物と酵素蛋白質の相互作用について、関連分子の同定と機能の解明を試みる。さらに、蛍光標識を用いた試験管内シャペロン測定系を用いた新規シャペロン化合物の探索系の構築を試みる。
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Research Products
(11 results)