2012 Fiscal Year Research-status Report
奇形症候群診断補助プログラムと遺伝子解析HRM法との融合によるパーソナル診断
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23591506
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
成富 研二 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20101446)
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Keywords | 遺伝子 / 奇形症候群 / 診断用ソフトウェア / 高精度融解曲線分析法 / 次世代シーケンサ |
Research Abstract |
H24年は、遺伝性疾患データベース、遺伝子解析系について以下を行った。 1)診断用ソフトウェアの改良: 遺伝性疾患データベースを2013年の最新のデータに更新し、各疾患について候補遺伝子および変異報告をリストアップした。 2)解析群の分類と定量PCR-HRM解析条件の設定: (1) Bohring-Opitz症候群の原因遺伝子ASXL1遺伝子、エクソンで、PCR解析が一定の条件で行えるよう、primerの設計を厳密に行った。Primer設計は、Genetyx softwareを使用し、annealing温度が60℃-64℃になるように設定した。条件設定を行っている上で、HRM法の精度や感度には使用する蛍光試薬が重要となることが判明したため、HRM法で使用する最適な蛍光試薬の検討も行った。EvaGreen, LCGreen Plus, SYTO9の3蛍光試薬を用い、FGD1遺伝子を指標として、 至適濃度、PCRに与える影響、HRMの検出感度、について検討したところ、SYTO9が最もqPCR-HRM法に適していることが分かった。 3)HRMによる変異スクリーニング解析: FGD1, MLL2, CD96, ASXL1,遺伝子について、患児検体でのスクリーニングを行った。スクリーニング陽性となった領域は、ダイレクトシークエンス解析で変異の有無を確認した。ダイレクトシーケンス解析との比較では、検出できない変異が1種類(1/32)認められた。検出できた変異の再検出率(再現性)は100%であった。 4)変異スクリーニングプレートの作製: Aarskog-Scott症候群、Opitz三角頭蓋症候群、自閉症に加え、Kabuki症候群、Bohring-Opitz症候群の各原因、関連遺伝子ごとに96wellプレート1~2枚で定量PCRからHRM解析が行えるスクリーニングプレートを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)遺伝性疾患データベースに関しては、当初の計画通り、最新のデータに更新しており、また、各疾患について原因遺伝子の判明しているものについては、変異報告を含めリストアップ済である。 2)定量PCR―HRM解析条件の設定および変異スクリーニングの実践については、FGD1遺伝子、CD96遺伝子、ASXL1 遺伝子、NLGN3遺伝子、NLGN4 遺伝子、RELN遺伝子、c-MET遺伝子での条件設定を終了し、患児検体におけるスクリーニングも実施した。また、解析用プレートを作製し、患者の遺伝子変異スクリーニングを行うなど概ね予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、データを更新しつつ、効果的な検出系の構築を目指す。 1)H25年度も継続して最新情報を取り入れた遺伝性疾患データベースを定期的に更新し、また原因遺伝子についても同様に追加していく。これらは、web上でも公開する。また、一定の症状から対象とすべき遺伝子群が分かるように、類似疾患(症状が一致する疾患)ごとに疾患とその原因遺伝子の表を作成する。 2)対象疾患を拡大し、疾患あるいは疾患群ごとの遺伝子primerセットおよび定量PCR-HRM解析系を完成させる。(96wellプレートで一括して行えるように、セッティングする。) また、H24年度において、解析条件設定後、実際の解析で結果が安定化しないエクソンについて、primer再設定、条件再設定を行う。 3)多検体同時スクリーニング解析の条件設定: Aarskog-Scott症候群の原因であるFGD1遺伝子について、既に変異の分かっている検体を用い、変異DNAと正常DNAの混合比を変え、どの程度まで検出可能か検証し、同一ウェル内での複数検体スクリーニングを行えるようにする。 4)シーケンス解析における次世代シーケンサの活用:多検体解析に、次世代シーケンサを用いて拘束シーケンスを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は、主にprimer作製、定量PCR用試薬、シーケンス解析等の試薬・プラスチック器具に使用する。また、シーケンス解析については、さらなる効率化のため次世代シーケンサを利用した解析も加え、その消耗品にも使用する。前年度および今年度に得られたまたは得られる成果を発表するため旅費に使用する。 シーケンス解析については、大量のシーケンス解析を予定しているので、外注によるシーケンスも行う。
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Research Products
(17 results)