2013 Fiscal Year Annual Research Report
溶血性尿毒症症候群に合併する急性脳症の発症を防止する分子免疫的治療法の開発
Project/Area Number |
23591512
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
南 弘一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60301438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 徳茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10158412)
鈴木 啓之 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80196865)
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Keywords | 急性脳症 / 溶血性尿毒症症候群 / 志賀毒素 / ケモカイン |
Research Abstract |
平成19~21年度の科研費「溶血性尿毒症症候群(HUS)に合併する急性脳症の発症におけるグリア細胞の研究」成果から、志賀毒素(Stx)によってヒトアストロサイトから発現促進されたケモカインが急性脳症の発症に関与する知見が得られた(Kioka N, et al. Int J Inflam. 2012: 135803)。その結果に基づき、ケモカインをターゲットにCannabinoidsを用いたケモカイン産生抑制などの分子免疫療法の研究を計画した。CannabinoidsはインドアサCannabis sativaに存在する有機物質で、様々な薬理作用をもち、脳実質内での免疫細胞機能を変化させる作用、炎症性サイトカイン発現を抑制する効果、さらに虚血性脳障害での神経保護効果やグリア細胞での抗炎症作用を示す。HUS脳症時にCannabinoidsを投与し、ケモカイン産生を抑制することで病状の進行を軽減できるという仮説を立て、ケモカイン抑制効果を分子生物学的なレベルで証明し、HUS脳症の治療薬開発を導くことを3年間の目標とした。 平成25年度(最終年度)は研究計画に従い、上記の論文で検討しなかったケモカインを中心に、ヒトアストロサイトでStx2刺激によるケモカイン発現ならびにケモカイン濃度を測定した。Real-time PCR法を用いて、MIP-1α、CINC-1、CX3CL-1の発現を定量的に調べた。いずれのケモカインもStx2刺激で発現促進を認めた。また細胞培養液中のケモカインにおいても、ELISA法で産生増加を認めた。各種濃度でのStx2刺激により、ヒトアストロサイトの転写因子NF-κBの活性化をウエスタンブロット法で検討した。条件を変更して行ったが、ヒトアストロサイトでのStx2刺激による転写因子NF-κB活性の上昇について有意差のある結果が得られなかった。Cannabinoids antagonist投与によるケモカイン発現抑制阻止効果の研究については、試薬が入手困難のために施行できなかった。
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Research Products
(2 results)