2014 Fiscal Year Research-status Report
小児における受動喫煙の科学的実態調査およびがん予防の効果的研究
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23591514
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
井埜 利博 群馬パース大学, 保健科学部, 客員教授 (60138261)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 胎児性タバコ症候群 / 診断基準 / 胎児性アルコール症候群 / 先天奇形 / 妊娠中喫煙 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児性タバコ症候群(FTS)との診断名は1985年にNieburgらによりJAMAに最初に報告された。それ以来、最近までFTSの疾患名や診断基準はあまり普及していない。その理由としてFTSとしての後発症状である気管支喘息、乳幼児突然死症候群、注意欠陥多動性障害、肥満、メタボリック症候群等は生下時には確認することができないことやFTSでは生下時に特徴的な顔貌などが明確ではないことが挙げられる。初期の診断基準項目として、1)母体が妊娠中に1日あたり5本以上喫煙していること、2)他の原因がない対称性の発育不全があること(在胎週数≧37週、生下時体重<2500g)、3)母体の高血圧がないことの3項目のみが挙げられた。それ以来、この診断基準の妥当性についての議論は過少である。周知のごとく在胎週数37週未満の低出生体重児や口唇口蓋裂などの先天奇形、さらには前述した後発症状なども広義の診断基準に入れるのが適当であると考えられる。FTSの診断については母親の環境が胎児へ及ぼす影響を論じるわけであり、胎児性アルコール症候群が参考になると思われる。今回は胎児性アルコール症候群の診断基準と対比し、文献検索を行なった結果、FTSの新たな診断基準を提唱した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り進み、研究結果が得られていると思います。
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Strategy for Future Research Activity |
胎児性タバコ症候群(FTS)では出生直後に明らかになる先天奇形などの合併症の他に後発症状が問題になり、SIDS、気管支喘息、肥満、ADHDなどは多くの疫学的研究のメタ解析で乳児期から小児期・思春期に渡り発症する。その他脳・腎の発育・機能の障害、心血管系、悪性腫瘍、DM、脂質異常、高血圧なども胎児の受動喫煙との関係が明らかになっている。 それらの出現の度合いは母体の喫煙量と量・反応関係が成立する。また多くの場合、妊娠初期で禁煙すると症状は軽いか、出現しない。なぜこのように、胎児期に受けた環境変化が思春期~成人に達するまで影響を受けるのか。今後、epigeneticsと呼ばれるDNAの塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化に注目し、その原因について検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた事務用品が不要となったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、尿中コチニン検査等の費用、学会参加の際の参加費・交通費、本研究に必要な物品の購入や臨時雇用の人件費などの使用を予定している。
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Research Products
(7 results)