2011 Fiscal Year Research-status Report
Star欠損マウスのステロイドホルモン産生細胞におけるトランスクリプトーム解析
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23591516
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 智弘 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70265867)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | StAR / ステロイドホルモン生合成 / ノックアウトマウス / 副腎皮質 / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は,ステロイドホルモン生合成の律速段階であるミトコンドリア外膜から内膜へのコレステロール転送の分子機構を解明すること,である.当該期間では,胎生期副腎のsteroidogenic acute regulatory protein (Star)欠損マウスのステロイドホルモン産生細胞のトランスクリプトーム解析を行い,分子遺伝学的特徴を収集した.1) Star-eGFPトランスジェニックマウスとStar欠損遺伝子ヘテロ接合体マウスを交配して,Star-eGFP/Star欠損マウスを作成した. 2) 胎生17.5-18.5日のStar-eGFP/Star欠損マウスの副腎を摘出し,機械的・酵素的に細胞レベルまで単離して,FACS(fluorescent-activated cell sorting)により純粋なステロイド産生細胞を集積した.3) 集積したステロイド産生細胞からRNAを抽出し,in vitro transcriptionを用いてRNA量を増幅した. 4) マウス全ゲノムマイクロアレイを用いて網羅的に遺伝子発現解析を行い,Star-eGFPマウスとStar-eGFP/Star欠損マウスの遺伝子発現データを取得した. 本年度の研究で取得できた副腎皮質のステロイドホルモン産生細胞の網羅的な遺伝子発現プロフィールは,Star欠損マウスのみならず,野生型マウスにおいても国内外で過去に報告されていない.この点で意義のあるデータが取得された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎児副腎のステロイドホルモン産生細胞の網羅的な遺伝子発現プロフィールを取得出来たことは,当初の研究計画通りである.ただし,マウスの交配樹立率が予想より低かったため,胎生期の各段階で十分な数の遺伝子型の胎仔を獲得できなかった点が未達成であった.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究計画の達成状況を勘案し,次年度以降の研究計画を以下のように推進する予定である. 平成24年度:胎生期のStar欠損マウスの副腎皮質ステロイドホルモン産生細胞の遺伝子発現データを十分な数で収集し,国際医学誌へ投稿する.さらに,成獣期のStar欠損マウスの副腎皮質,精巣,卵巣の各ステロイドホルモン産生細胞のトランスクリプトーム解析を行う. 以下に具体的な研究計画を示す.1) 胎生17.5-18.5日のStar-eGFP/Star欠損マウスの副腎からFACSを通して集積したステロイドホルモン産生細胞の遺伝子発現プロフィールの収集を継続し,Star-eGFPマウスと比較解析した結果を英文国際医学誌へ投稿する.2) Star-eGFPトランスジェニックマウスとStar欠損ヘテロ接合体マウスを交配させ,PCR genotyping判明までは全ての新生仔に対して,判明後はStar-eGFP/Star欠損マウスのみにハイドロコルチゾン,フロドロコルチゾン,デキサメサゾンを1日1回皮下投与する.3) 週齢8のStar-eGFP/Star欠損マウスの副腎・精巣・卵巣を摘出し, FACSにより純粋なステロイド産生細胞を集積し,マウス全ゲノムマイクロアレイを用いて網羅的に遺伝子発現解析を行い,Star-eGFPマウスの遺伝子発現データと比較する.4) 胎生期と成獣期,雌雄の網羅的な遺伝子発現データを比較し,胎児副腎皮質,成獣副腎皮質に特異的に発現している遺伝子群を雌雄それぞれで同定する. 平成25年度:各種のマウスステロイドホルモン産生細胞株で,Star-eGFP/Star欠損マウスで得られた遺伝子発現データの再現性を確認し,機能的意義を解析する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は,効率的な物品調達を行ったこと,マウスの交配樹立率が予想外に低かったことに起因する.翌年度の動物飼育費および消耗品購入に充てる予定である. 具体的な予算の使用計画については,マウス飼育費(600千円),genotyping用のPCR試薬やマウス全ゲノムマイクロアレイ用のチップなどの実験消耗品(425千円),研究発表のための国内外の学会出張費(350千円),論文投稿料(100千円)を本研究費で支払う予定である.
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