2013 Fiscal Year Research-status Report
モワット-ウィルソン症候群原因遺伝子SIP1の脳組織とその機能構築における役割
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23591525
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
東 雄二郎 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 部長 (30181069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西崎 有利子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, リサーチレジデント (90378901)
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Keywords | 遺伝・先天異常学 / 脳 / 精神遅滞 / SIP1 / 転写因子 |
Research Abstract |
(1)SIP1の発現領域の解析 モワット・ウィルソン症候群における精神運動発達遅滞の病因の解明を目指して、SIP1の脳内における発現部位の特定を行った。SIP1の遺伝子座にin-frameでGFPを挿入したレポーターノックインマウスを用いて解析を行った。GFP抗体によって検出されるSIP1の発現は、新生仔の海馬、大脳皮質、嗅球、小脳等で見られ、さらに側脳室で生じた新生神経細胞が嗅球へ向かうrostral migratery streamに沿った発現や、脳梁や海馬采のオリゴデンドロサイト、縫線核のセロトニン神経などでも確認された。本結果は雑誌Genesisに投稿し、2014年1月号に掲載された。 (2)Mowat-Wilson syndromeのモデルマウスの作製と解析 Mowat-Wilson syndromeの発症機構を知るために、この症候群のモデルマウスを使った解析は有効である。その有力な候補としてSip1遺伝子変異マウスが挙げられるが、これまでは系統維持されたSip1変異マウスを用いて解析が行われてきた。しかしMowat-Wilson syndromeは、多くがde novo型のSip1遺伝子の突然変異により生じる。そこで、オスの精子で発現するProtamin-Creマウスを用いて、新規にde novo型のSip1変異マウスを作製する系を立ち上げた。この系を用いて生まれてきたSIP1 ヘテロ欠損マウスに関して、ヒトの症例と比較しながら解析を行っているが、頭蓋骨や脳梁形成に関して、ヒトと類似した表現型が観察され始めている。これらの点について、現在詳細に解析中である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析に必要な各マウス系統の入手と繁殖に時間を要してしまった点がもっとも大きい点である。また、それらの交配の際に、SIP1コンディショナルKO用のSIP1floxヘテロマウスの妊娠率や正常出産率等の低さが問題になった点もあり、今後この点に関する、対策が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)SIP1の発現部位の詳細な解析に関してはだいたいの解析が終わり、その結果は論文として発表した。今後はこのマウス由来の細胞でクロマチン免疫沈降法を用いることで、より精度の高いSIP1の標的遺伝子の探索を行うことができると期待できる。 (2)de novo型SIP1ヘテロ欠損マウスを、解析に充分な個体数を用意し、ヒトのモワットウィルソン症候群の患者の症状と比較して、マウスにおいても同様(あるいは類似)の表現型が観察されるかどうか検討する。注目すべき表現型については、その発症のメカニズムに関して解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画の延長に伴い、マウスの飼育に必要なエサ等の費用を確保しておくため。 上述の通り、主にマウス飼育のための費用に用いる。
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Research Products
(3 results)