2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトヘムオキシゲナーゼ(HO)-1欠損症の第2例目発見:HO-1の機能的本質
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23591531
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小泉 晶一 金沢大学, その他部局等, 名誉教授 (50019973)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / ヘムオキシゲナーゼ1欠損症 / 炎症 / 血管炎 / 腎尿細管 / 溶血性貧血 / 血管内皮細胞 / ビリルビン代謝 |
Research Abstract |
1999年にわれわれは世界で初めて「ヒトHO-1欠損」症例 を発見し発表した。(Yachie ら, 1999)無脾症、全身性炎症、血管内皮障害、腎障害が認められ、溶血性貧血、ビリルビン低値、血小板増加などの特徴を有した。そしてHO-1酵素が胎生期における発育、臓器の分化成熟、恒常性維持に極めて重要な物質であることが知れた。我々の第1例発見から十年余を経て2011年にようやく第2例目がインドで発見報告された。 この症例は女児で無脾症であることなど第1例目と臨床症状に類似性が高い。この例は軽症で15歳を超えて比較的元気であったが、その後第1例目と同様に溶血性貧血、腎障害が進行し、結局頭蓋内出血と多臓器不全で死亡した。(Radhakrishnan N,2011) さらに本研究期間に入って、同じくインドで3例の追加症例報告があった。(Yachie ら,15th Meeting of the European Society of Immunodeficiencies, ESID 2012) 第3例目は2歳男児で、生後6か月ころから全身感染症、血管内溶血、腎障害が進行し診断2か月後に死亡した。第4例目は10歳男児で、全身感染症、溶血性貧血を認め、無脾症、腎障害が明らかである。第5例目は9歳女児で、1年半ほど前から溶血性貧血、発熱が続いている。超音波やCT検査で無脾症が証明されている。遺伝子検索では、我々の第1例目はエクソン2欠損とエクソン3の2bp欠損で、第2,3,4,5例はいずれもR44Xのホモであった。 以上より、HO-1欠損症の臨床像がほぼ固まってきた。全身性炎症、進行する多臓器不全は、過剰なヘムによる全身の血管内皮細胞障害が主原因と考えられ、このことは新しい全身性炎症疾患概念の確立を示唆するものかもしれない。背景の遺伝子異常は単一ではなく、今後さらに検討が必要である。
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Research Products
(13 results)