2011 Fiscal Year Research-status Report
小児難治性固形腫瘍に対する同種ナチュラルキラー細胞による抗腫瘍効果
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23591532
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
合井 久美子 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (70324192)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | NK細胞 / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
本研究は急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia : ALL)や神経芽腫などの難治性小児悪性腫瘍に対して、臍帯血移植を含む同種移植におけるkiller cell immunoglobulin-like receptors (KIR)リガンド不一致ドナーの有用性および機構を明らかにし、移植成績の向上をめざすものである。 小児難治性白血病の1つである11q23型急性リンパ性白血病細胞株に対する末梢血、臍帯血ドナーNK細胞の細胞傷害活性 を51Cr releasing assay法により測定したところ、末梢血NK細胞、臍帯血NK細胞ともにKIRリガンド不一致ドナーが一致ドナーと比較して、より傷害活性が高かった。他の細胞株では、T細胞型急性リンパ性白血病がNK活性化型受容体NKG2Dのリガンドの発現が極めて高いことにより、末梢血、臍帯血NK細胞によるT細胞型急性リンパ性白血病に対する傷害活性は非常に強く、KIRリガンド不一致ドナーを選択することにより、その効果がより増強することを確認した。さらに、臍帯血NK細胞の細胞傷害活性が、ドナーのNKG2DのSNPにより活性の差があることが示唆された。小児難治性腫瘍であるEwing肉腫、神経芽腫、骨肉腫、横紋筋肉腫瘍様腫瘍細胞株でもNK受容体リガンドを検討したところ、一部の細胞株でNKG2DリガンドのMICA/BおよびDNAM-1リガンドの発現が高いことが確認され、神経芽腫、横紋筋肉腫瘍様腫瘍細胞株で末梢血NK細胞による細胞傷害活性が示された。しかし、骨肉腫細胞株ではHLA-classIの発現が極めて高く、NK細胞よりT細胞による傷害活性が高い可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
末梢血NK細胞による細胞傷害のメカニズムおよび細胞傷害活性の増幅についての解析するための、各腫瘍細胞株のNK細胞受容体リガンドおよび接着因子発現の解析は終了し、さらに、Calcein AM/PI染色での健常ドナー末梢血NK細胞の腫瘍細胞株に対する細胞傷害活性の測定も検討中である。さらに、薬剤添加、DNA傷害、サイトカインによる腫瘍細胞のNK受容体リガンド、接着因子、chemokineの発現誘導についても検討中であるが、現段階で発現誘導に効果的な薬剤は発見されていない。また、末梢血、臍帯血NK細胞に於けるNKG2DのSNPによるNKG2Dを介する抗腫瘍効果の差についても進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍特異的抗体(抗GD2抗体、抗HER-2抗体)で腫瘍細胞を前処置した後、ドナーNK細胞による細胞傷害活性を測定し、ADCCによる細胞傷害活性の増強についての検討をおこなう。また前年度の結果を踏まえ、臍帯血NK細胞の固形腫瘍細胞株に対するin vitroでの細胞傷害活性の検討する。まず、ドナー臍帯血NK細胞表面の活性化受容体NKG2Dの発現とNKG2DのSNPとの関連を検討し、さらに健常ドナー臍帯血NK細胞の腫瘍細胞株に対する細胞傷害活性の測定 する。これらにより、末梢血と臍帯血の傷害活性の差についても比較検討する。また、末梢血、臍帯血ドナーNK細胞の活性化、増幅を目的として、サイトカイン添加による臍帯血ドナーNK細胞数、phenotypeおよび細胞傷害活性への影響も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に試薬等の消耗品購入に用い、関連する学会発表等の旅費として使用する。今年度の実施内容に区切りがついたため、残金は次年度の消耗品購入にあてる。
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