2011 Fiscal Year Research-status Report
小児慢性炎症性疾患に伴う成長障害の炎症性サイトカイン制御不全からみた解析と治療法
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23591546
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
横田 俊平 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10158363)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 小児免疫・アレルギー・膠原病学 |
Research Abstract |
難治性全身型若年性特発性関節炎 (s-JIA) において、トシリズマブ (TCZ) の臨床効果は既に立証されている(Yokota S, et al. Lancet. 2008;371:998-1006.)が、本症における成長障害の実態と、それに対するTCZが及ぼす影響について検討した。TCZ治験第III相に登録し、144週 (約3 年間)まで継続観察し得たs-JIA 45例 (男児17 例、女児28 例、治験開始時8.1±4.2才、平均罹病期間4.1±3.2 年) を対象とした。TCZは6週間のopen-label phase (実薬 8mg/kg, 2週毎に3回投与) に引き続き12週間のrandomized, double-blind withdrawal phase (実薬あるいは偽薬8mg/kgを2週毎に投与)を経て、Extended studyにて実薬投与を継続した(8mg/kgを2週毎に投与)。成長は、(1)身長の標準偏差 (SDS-height) 、(2)治験開始時からのSDS の変化(⊿SDS)、(3)⊿SDSと 他の因子(年齢、性別、罹病期間、ステロイド投与量、JIA core setによる治療効果)との相関を評価検討した。 38/45例 (84.4%) がTCZ有効と判断され、治験開始時の平均のSDS-heightは-2.67±1.97で顕著な成長障害が認められた。治験開始時SDS-heightと治験開始時までの罹病期間は明らかな逆相関を示した。治験期間中のステロイド投与が相対的に少ない集団 (平均プレドニゾロン(PSL) 投与量 6.7 mg/body未満、22例)と多い集団 (平均PSL投与量6.7 mg/body 以上、23例)の2群に分けての⊿SDSとの単変量解析では2群間に優意差がみられた (p=0.001)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討により、成長障害の実態とアクテムラ導入経過に伴う改善効果が確認できた。今後成長障害改善のメカニズムについて、更なる検討を行っていく
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果より、難治性s-JIAは既存療法での治療期間に比例して、成長障害の進行がみられ、難難治例へのより早期のTCZ導入の必要性が成長障害の観点からも確認された。本検討では、TCZ導入後の成長障害の改善はステロイドの減量・中止に寄与する結果であったが、IL-6の生理学的活性遮断が成長障害改善へ貢献したとも推察される。サイトカインの動向に加え、インスリン様成長因子(IGF-1)、骨年齢の測定により成長障害の原因を多視角的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
血清サイトカイン(IL-6, IL-18, IL-1β)、IGF-1の測定、骨年齢の評価とその解析、およびこれまでの成果発表に研究費を予定している。
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