2012 Fiscal Year Research-status Report
小児白血病融合転写因子の白血病化と傍白血病症状を呈する下流遺伝子の同定
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23591549
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
黒澤 秀光 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10205239)
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Keywords | E2A-HLF / PTHrP / apoptosis / PTHR-1 / 高カルシウム血症 |
Research Abstract |
17;19転座型急性リンパ性白血病(t(17;19)+ALL)の転写融合遺伝子E2A-HLFの下流遺伝子で白血病化や傍白血病症状を呈する候補遺伝子PTHrPの機能解析を実施ししているPTHrPはt(17;19)+ALLは高発現し、t(17;19)-ALL株にE2A-HLFを導入すると高発現することを確認している。 1.PTHrPのfull length cDNAのクローニングと発現ベクターの作成:PTHrPは複数のsplice variantsがある。175aaと177aaの2つvariantsをPCR法でクローニングし、sheep metallothionein promoterを有するPMT-CB6+発現ベクターに組み込んだ。ヒト白血病細胞株に導入したが、強発現する細胞株を得ることが出来ていない。 2.PTHrPがE2A-HLFの下流遺伝子であることの証明:PTHrPのプロモーター領域をPCR法によりクローニングした。E2A-HLFが結合する可能性のあるconsensus sequence類似領域を含むfragmentを作成し、pGL3 basic vectorに組み込みE2A-HLF誘導可能なt(17;19)-ALL細胞株に導入を試みた。安定した結果が得られていない。今後、レポーターアッセイを予定している。 3.PTHrPの細胞局在の決定:PTHrPのシグナルペプチドを有するN末(1-34)、nuclear localization signal(NLS)を有する(87-101)とC末流域について免疫蛍光抗体法で細胞局在を試みたが、良い抗体が得られないため細胞同定が確認できていない。 4.レンチウイルスsiRNA導入システムを用いたPTHrP knockdown: レンチウイルスをsi RNA導入システムを用いたPTHrPのknockdownコンストラクトを作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
PTHrPの市販の抗体で、immunoblotで検出可能なものは現在のところなかった。しかし、Immunoprecipitationでかろうじて確認ができるようになった。現在、適正化を実施中である。うまくいかない場合は発現誘導をreal-time PCRなどで代用して今後の研究を進める予定である。 1.PTHrPのfull length cDNAのクローニングと発現ベクターの作成: 2種類のPTHrPのsplice variantsのsheep-methallothioneinプロモーターによるPTHrP誘導株が得られない。原因究明と再度導入を計画している。 2.PTHrPがE2A-HLFの下流遺伝子であることの証明:PTHrPのプロモーター領域各フラグメントをpGL3 basic vectorに組み込んだ。今後、E2A-HLF誘導システムを有するt(17;19)-ALL細胞株に導入してレポーターアッセイを実施予定であるが、細胞株の選定に苦労している。 3.PTHrP各領域の細胞局在の決定:免疫蛍光抗体法を試みたが、十分なシグナルが得られなかった。現在、各細胞分画を抽出してそれぞれをimmunoprecipitation 法でかろうじて検出できることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が遅れているのでエフォートの比率を40%に上げて研究を実施する。 1.PTHrPの機能解析:中間部PTHrPが乳がん細胞で抗アポトーシス機能を有する。PTHrP(1-84) knock-in mouseでは細胞周期G0/G1に集積し、アポトーシスが誘導される。t(17;19)+ALL の白血病化のアポトーシス抑制機序とよく相関している。t(17;19)+ALLの白血病化にPTHrPが関与している可能性がある。また、t(17;19)+ALL 特有の骨転移がPTHrPの細胞接着因子誘導により生じている可能性が予想している。PTHrPの2つのsplice variantsを再度IL-3依存性mouse proB細胞株とPTHrP非発現白血病細胞株に導入して機能解析を実施する。さらに、レンチウイルスをsi-RNA導入システムを用いたPTHrPのknockdownしたt(17;19)+ALL 細胞株の表現型解析を実施する。 2.PTHrPがE2A-HLFの下流遺伝子証明:E2A-HLFのconsensus sequence類似領域をpGL3 basic vectorに組み込んだE2A-HLF誘導システムを有するt(17;19)-ALL細胞株を選定し導入し、レポーターアッセイを実施する。 3.t(17;19)+ALLにおけるPTHrP各領域の細胞内局在を決定する:細胞質・核に分けて分画しimmunoprecipitation 法で実施している。immunoprecipitation 法を適正化していきたい。immunoprecipitation 法で問題点が解決し研究が進むと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行における経費は消耗品と謝金である。 ほとんどの実験機器を有しているため備品の購入は予定していない。 実験は主にヒト白血病細胞株を用いる。このため、培養に関する消耗品すなわち試薬・培養液・ピペット・培養用フラスコ・レンチウイルスをsi RNA導入の試薬・immunoprecipitationキットなどを購入する。ウエスタン法・immunoprecipitation法を実施するため、PTHrPの抗体などを追加で購入する予定である。 実験補助1名に実験器具の洗浄・試薬作成・滅菌などを週に1回の割合でお願いしている。1日5時間勤務で週1日、4月から翌2月までで年間約20万円である。実験が遅れているので、実験推進目的で補助者を増やして実験推進を考えている。他に共同研究者がなく業務の一部を実験補助に依頼することで、実験の効率を上げたいと考えている。以上、昨年度の残金284,841円と今年度支給額を合わせて支出する予定である。今回の申請は本研究を遂行する上で必要な消耗品と謝金のみであり、申請は妥当であると考えている。
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