2012 Fiscal Year Research-status Report
JAK2遺伝子スプライシング異常をもつ新規症候群の発症メカニズムの解明
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23591550
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 准教授 (80291326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 弘毅 杏林大学, 医学部, 助教 (70439165)
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 教授 (00191768)
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Keywords | JAK2 / スプライシング / 骨髄増殖性腫瘍 |
Research Abstract |
24年度には、スプライシング異常を有するJAK2変異をもつ患者およびその家族のDNAを入手し、家族の同意に基づいて遺伝子解析を行った。すなわち、次世代シークエンサーを用いて、患者および家族のDNAについてエクソーム解析を行い、スプライシング異常を生ずる原因となる遺伝子変異の同定を試みた。現在すでにウェットの解析は終了し、データの解析を行っているところであるが、候補となる遺伝子異常が複数個検出されている。今後は、これらの遺伝子異常がどのようにしてスプライシング異常、あるいは患者フェノタイプの異常に結びつくのかについての検討を進める予定である。 一方、スプライシング異常を有するJAK2変異の機能解析については、BaF3細胞にスプライシング異常を有するJAK2変異遺伝子を導入し、JAK-STAT系のリン酸化について解析を行った。種々の条件の変更を行ったが、明らかなJAK-STAT系のリン酸化の亢進を示すデータは得られなかった。今後は、導入する細胞種を変更するなどにより、さらに変異JAK2の機能の解析を進める予定である。 また、スプライシング異常を有するJAK2変異遺伝子を導入したトランスジェニックマウスについては、全16匹について解析が終了した。一部多血や血小板増多を示すマウスがみられたが、平均としてはコントロールマウスと比較して明らかな多血や血小板増多、白血球増多は見られなかった。肝臓の腫瘍については、病理学的にヒトの一般的な肝癌とは異なっていたが、JAK2変異との明確な関連は指摘できなかった。その他、明らかな心血管系や生殖器系の奇形は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者家族の遺伝子解析が終了し、複数の原因遺伝子変異の候補が得られたことで、今後これらの遺伝子の機能解析により、今回の新たな疾患の原因遺伝子が同定される可能性があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、エクソーム解析で得られた原因遺伝子異常の候補に焦点を当て、その機能解析等を行うことで、骨髄増殖性疾患を含む症候群の原因の解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
トランスジェニックマウスで病態が再現できなかったため、その後の解析に必要な経費が繰り越しされた。次年度は、エクソーム解析で得られた遺伝子異常について、細胞への導入を行い、スプライシングに及ぼす影響や、細胞増殖能への影響などの機能解析を行う。そのため、繰り越し分を含めた研究費により遺伝子導入試薬や、細胞培養試薬、およびスプライシングアレイのための試薬を購入する予定である。
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