2014 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンDサプリメントによる小児喘息発症・発作予防ランダム化プラセボ比較臨床試験
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23591553
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
浦島 充佳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80203602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田知本 寛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40256409)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 小児 / アレルギー / ビタミンD / プラセボ / 喘息 / GINA / IgE |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:我々は標準治療を既に行っている小児喘息児に対して、低用量、短期間のビタミンDサプリメント投与がプラセボと比較して、小児喘息のコントロール状態を改善するか否かを検討した。方法:我々は6歳~15歳の小児喘息児をランダムにビタミンD3サプリメント1日800IUを2カ月間投与する群とプラセボを投与する群に振り分け、内服する側も、喘息児のコントロールレベルを評価する小児科医側もどちらを内服しているか判らない状態で(二重盲検)行った。喘息のコントロールレベルは、GINAに則り、開始後2カ月あるいは6カ月から開始前のGINA点数を差し引いたものを両群間で比較した。結果:既に小児喘息の診断のついている日本人小学生89人をランダムにビタミンD群(54人)、プラセボ群(35人)に振り分け2カ月間投与した。2カ月の段階でビタミンD群では94%でGINAの改善をみたのに対して、プラセボ群のそれは57%であり、ビタミンDが有意に小児喘息のコントロールレベルを改善した (P=0.022)。これらの差は6カ月の時点でも継続していた(P=0.027)。一方、GINAはプラセボ群の31%で悪化したのに対して、ビタミンD群では9%に悪化をみるにとどまった:その差も統計学的に有意であった (P=0.009)。また、6カ月の間にpeak expiratory flow rate が80%未満になるリスクもプラセボ群と比較してビタミンD群ではおよそ半分であった(P=0.032)。総IgE 、ほこりやダニに対する抗原特異的 IgE そしてIL13/IL17A のレベルはビタミンD群で有意に減少したが、プラセボ群では減少していなかった。結論:標準治療に低用量のビタミンDを短期間投与することにより、学童期にある小児喘息のコントロール状態を改善する可能性が示された。
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