2011 Fiscal Year Research-status Report
SNPアレイとメチル化アレイを用いたT細胞型急性リンパ性白血病の統合的遺伝子解析
Project/Area Number |
23591560
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Research Institution | Gunma Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
朴 明子 群馬県衛生環境研究所, その他部局等, 研究員 (50450375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 泰秀 群馬県衛生環境研究所, その他部局等, 研究員 (30238133)
外松 学 群馬県衛生環境研究所, その他部局等, 研究員 (70251113)
大木 健太郎 群馬県衛生環境研究所, その他部局等, 研究員 (50400966)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 癌 / マイクロアレ |
Research Abstract |
小児T細胞型急性リンパ性白血病(T-ALL)のJACLS 67例と東京小児がん研究グループ(TCCSG)の70例の検体をSNPアレイ解析を行ない、4q, 6q, 11p, 9p, 17p13等のホモ欠失やuniparental disomy(UPD)をみいだした。11p13のWT1、4qのLEF1、およびNOTCH1経路に関連する遺伝子を含む複数の新規遺伝子の変異解析と臨床的解析を行い、予後因子となる遺伝子変異を同定して治療成績の向上とT-ALLの病態解明を行うのが目的である。 今年度はSNPアレイ解析でみいだされたLEF1遺伝子の解析を行い、JACLSのT-ALL 67例中5例(7.5%)に異常がみられ、年齢が10才以下に多くみられ(p=0.03)、予後の差はみられなかったが、表面マーカー解析による細胞の分化段階は初期段階(未分化型)であった。LEF1遺伝子異常のみられた5例に、同時にNOTCH1遺伝子の異常を認め、LEF1とNOTCH1遺伝子の両方の変異がみられる症例の存在より、NOTCH1からのシグナル経路とLEF1からの経路が異なることも想定され、今後下流のAKT/PI3経路の遺伝子の異常の検索を予定している。また、LEF1遺伝子の胚細胞変異の有無も検討している。さらにTCCSGのT-ALL 60例でも変異を検出し、臨床像との関係を検討している。 その他のSNPアレイの解析では、9pのp16/p15遺伝子、6q、11p、17p13等のホモ欠失やUPDがみられ、11p13ではWT1遺伝子が同定され5例に変異がみられ、そのうちUPDが4例にみられた。WT1変異例は予後不良の傾向がみられた。さらにいくつかの新規遺伝子のホモ欠失とUPDをみい出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SNPアレイ解析でみいだされたLEF1遺伝子の解析では、JACLSのT-ALLとT-NHL新鮮検体67例中5例(7.5%)に異常がみられた。5例は年齢が10才以下に多くみられ(p=0.03)、表面マーカー解析による細胞の分化段階は初期段階(未分化型)であった。さらに臨床像との関係の詳細な検討を進めている。LEF1とNOTCH1遺伝子の両方の変異がみられる症例の存在より、NOTCH1からのシグナル経路とLEF1からの経路が異なることも想定され、下流のAKT/PI3経路の遺伝子の異常の検索を予定している。また、LEF1遺伝子の胚細胞変異の有無と変異ミュータントを導入した細胞を用いた機能解析を行っている。LEF1遺伝子異常のみられた5例に、同時にNOTCH1遺伝子の異常を認め、TCCSGのT-ALL 60例でも同様な変異を認め、詳細な臨床像との相関を検討しているところであり、研究は順調に進んでいる。 その他のSNPアレイの解析では、9pのp16/p15遺伝子のホモ欠失とUPD、6q、11p、17p13等のホモ欠失やUPDがみられ、11p13ホモ欠失領域ではWT1遺伝子が同定され5例に変異がみられ、WT1変異例は予後不良の傾向がみられた。さらにいくつかの新規遺伝子のホモ欠失とUPDをみい出し、そのうちの一つはT細胞の胸腺分化に関与する遺伝子であった。これらの遺伝子の変異解析を開始しており、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はSNPアレイで検出された新規遺伝の1つであるLEF1遺伝子につき、昨年度のJACLSの研究に加え、TCCSGのT-ALLを加えT-ALLの多数例の臨床像との関係を詳細に検討している。さらに、Interleukin-7受容体(IL-7R)の変異と臨床像の関係を検討した。さらにSNPアレイを用いてT-ALLとT-NHLの発症と進展に関与する新規遺伝子の抽出を行い、新たにいくつかの新規遺伝子をみいだし検討中である。 今後、Interleukin-7 receptor(IL-7R)とBCL11B遺伝子の変異と臨床像との関係を明らかにする。さらに、初診時、寛解時、再発時の検体を用いて10例のエクソーム解析を行い、T-ALLの発症と進展に関与する遺伝子を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)Interleukin-7 receptor(IL-7R)の変異と詳細な臨床像との関係を明らかにする。(2)BCL11B遺伝子の変異の解析と臨床像の相関を明らかにする。(3)初診時、寛解時、再発時の検体を用いて10例のエクソーム解析を行い、T-ALLの発症と進展に関与する遺伝子を明らかにする。 これらを研究予定なので、PCR、シーケンスの試薬を中心に研究費を使用する予定である。エクソーム解析のキットも購入する予定である。
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Research Products
(63 results)
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[Presentation] TCCSG小児B前駆細胞型急性リンパ性白血病におけるCRLF2とIKZF1の解析2011
Author(s)
大木健太郎,大喜多肇,小林健一郎,清河信敬,朴明子,新井心,外松学,柴徳生,福島敬,康勝好,花田良二,真部淳,菊地陽,小原明,土田昌宏,林泰秀
Organizer
第53回日本小児血液・がん学会学術集会
Place of Presentation
前橋
Year and Date
2011-11-27
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[Presentation] T細胞型小児急性リンパ性白血病における遺伝子異常の解析2011
Author(s)
朴明子,清河信敬,小田慈,真部淳,原純一,小原明,花田良二,土田昌宏,小川誠司,堀部敬三,林泰秀
Organizer
第53回日本小児血液・がん学会学術集会
Place of Presentation
前橋
Year and Date
2011-11-25
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[Presentation] 乳児白血病におけるIDH 1/2遺伝子の変異解析2011
Author(s)
樋渡光輝,滝田順子,真田昌,西村力,大久保淳,井田孔明,外松学,菊地陽,五十嵐隆,林泰秀,小川誠司
Organizer
第70回日本癌学会学術総会
Place of Presentation
名古屋
Year and Date
2011-10-03
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