2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591586
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
関根 孝司 東邦大学, 医学部, 教授 (50255402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國島 伸治 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), 臨床研究センター, 室長 (60373495)
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80311976)
三浦 健一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70408483)
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Keywords | ネフローゼ症候群 / FSGS / podocyte / 細胞骨格分子 / 蛋白尿 / foot process |
Research Abstract |
本研究は、非筋性ミオシン重鎖IIA分子(以下myoIIA)および、その関連分子の解析を通じて「難治性ネフローゼ症候群の分子病因・病態」を明らかにすることにある。MyoIIA分子は、遺伝性進行性腎炎であるEpstein症候群の責任分子であり、同時に、myoIIAをコードするMYH9分子はゲノムワイド連鎖解析から特発性FSGSと初めて連鎖が症例された遺伝子でもある。 私どもはすでにEpstein症候群患者の腎病態がFSGSであることを証明しており(Sekine T. et al Kidney Inter 2010)、本研究は特発性ネフローゼ症候群(特にFSGS)におけるmyoIIAの意義を明らかにすることにある。 研究2年目の24年度は、1)ネフローゼ症候群を呈するヒト腎病変(FSGS、微小変化型ネフローゼ症候群、および、高度蛋白尿を呈する各種慢性腎炎)でのmyoIIAの発現を、immunohistochemistry、immunofluorescenceの手法を用いて、定性的・定量的に測定した。この結果、FSGSの患者でのみmyoIIA分子の発現量が低下していることが明らかになった。また、ネフローゼ症候群を呈する動物モデルであるPAN腎症においても、ネフローゼ発症時期に一致して、myoIIAの発現が低下することが明らかにした。これらの結果はすでに英文誌に投稿し、現在改訂中である。 さらに、本年度はmyoIIAを発現するpodocyte培養細胞を用い、pococyteの特殊な形態(細胞体、一次突起、二次突起という神経細胞様の構造をもつ)の形成およびその形態維持に、myoIIAが深く関与している可能性を示す実験結果を得た。培養細胞でのmyoIIAの機能については現在詳細に解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終年度となる平成25年度は、以下の3つの課題に取り組む。 1) podocyte培養細胞を用いて、podocyte形態形成および維持におけるミオシン重鎖IIA分子の役割について詳細に解析する 2) ヒトFSGS患者血清が培養podocyteの形態およびミオシン重鎖IIA分子の局在、発現に与える影響を解析し、ミオシン重鎖IIA分子の特異なpodocyte内の局在の意義とそれを障害する因子・要因の同定に挑む 3) 培養podocyteおよび動物実験モデルにより、ミオシン重鎖IIA分子がFSGS発症時に何故、その発現が低下するか(シグナル伝達の上流)を明らかにする。 すでに、解析の準備は整っており、研究費は主に消耗品として使用する。その他、英文投稿費用、最終報告書作成にもいくらかの金額が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度となる平成25年度は、以下の4つの課題に取り組む。 1) podocyte培養細胞を用いて、podocyte形態形成および維持におけるミオシン重鎖IIA分子の役割について詳細に解析する 2) ミオシン重鎖IIA分子の特異なpodocyte内の局在の意義とそれを障害する因子・要因の同定に挑む 3) ヒトFSGS患者血清が培養podocyteの形態およびミオシン重鎖IIA分子の局在、発現に与える影響を解析する 4) 培養podocyteおよび動物実験モデルにより、ミオシン重鎖IIA分子がFSGS発症時に何故、その発現が低下するか(シグナル伝達の上流)を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
すでに、解析の準備は整っており、研究費は主に消耗品として使用する。その他、英文投稿(すでに一部投稿、査読中)の費用にいくらかの金額が必要である。平成24年度は20万円を翌年度に繰り越すことができた。これは、解析費用が工夫により支出を一定程度抑えることができたためであり、平成25年度にこの費用を有益に使用する予定である。
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[Journal Article] SIRPα interacts with nephrin at the podocyte slit diaphragm.2012
Author(s)
Kajiho Y, Harita Y, Kurihara H, Horita S, Matsunaga A, Tsurumi H, Kanda S, Sugawara N, Miura K, Sekine T, Hattori S, Hattori M, Igarashi T.
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Journal Title
FEBS J
Volume: 279
Pages: 3010-3021
DOI
Peer Reviewed
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