2011 Fiscal Year Research-status Report
血管炎の急性期における血管平滑筋細胞の形質転換に伴う細胞機能・応答機構の解明
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23591588
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小川 俊一 日本医科大学, 医学部, 教授 (50194436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝部 康弘 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20246523)
深澤 隆治 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80277566)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 川崎病 |
Research Abstract |
本研究の主題は川崎病類似の血管炎動物モデルを用い、炎症に伴い形質転換した血管平滑筋細胞の細胞機能、応答機構およびそれらの機序を微小電気生理学的、免疫組織学的、分子生物学的方法等を用いて解明し、この系における治療戦略についても検討することにある。Candida Albicans Water Soluble Fraction(CAWS)による動脈炎モデルマウスの遺伝子パターンは我々が川崎病症例で見出したパターンと極めて類似する所見であることから、川崎病類似血管炎モデルになると判断し以下の実験を行った。[研究方法]4-5週齢のDBA/2マウスにCAWS 0.5mgを連日5日間腹腔内投与し血管炎を生じさせる(CAWS群)。CAWSの代わりに生食を5日間連続腹腔内投与を行った群をコントロール(Cont群)とした。CAWS投与後2週間で屠殺、CAWS群およびCont群の2群間のに大動脈基部組織所見、および血液白血球での遺伝子プロファイリングの比較を行った。[結果] 1)組織学的検索:CAWS群では全例において大動脈のバルサルバから左右冠動脈分岐部にかけて強い血管炎を呈していた。2)遺伝子発現プロファイリング:CAWS群ではCont群に比較し2倍以上の発現の増減を呈した遺伝子は489遺伝子あり、そのほとんどはCAWS群において発現が増加するものであった。GO解析によると発現が多い遺伝子のグループはINFγや IL-3, 6, 5, 2, TNFといったサイトカインパスウェイグループに属すものが多かった。[考案]CAWSを用いて高率に川崎病血管炎モデルマウスを作成することが可能となった。汎血管炎により血管平滑筋細胞は形質転換することが予想され、その際にはINFγやTNFといったサイトカインパスウェイグループが関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度の目標はCAWSによる川崎病類似血管炎モデルマウスを作成することにあったが、今後の研究を進めていく上で十分期待できるモデルマウスを作成することが可能であった。ただし、CAWSの投与量、投与期間、屠殺時期などを決定するための予備実験に時間がかかってしまい、少々計画は遅延している。ただし、モデルマウスを効率よく作成することが可能となったので、平成24年度には現在の遅れを取り戻すことが十分に可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
CAWSによる川崎病類似血管炎モデルマウスを用いて以下の実験を行う。1) 血管炎が惹起された動脈組織の免疫組織染色:分化型血管平滑筋細胞から脱分化型血管平滑筋細胞に形質転換する際に、その過程に関与することが予想される転写因子(KLF5、Erg-1)と分化抑制因子(Id)に対する抗体を作成し、モデルマウスから採取した大動脈基部組織を用いて免疫組織染色を行う。なお、健常マウスの組織をコントロールとする。2) 血管平滑筋細胞の単離、および各培養細胞の作成:大動脈基部組織を細切し、単離血管平滑筋細胞を作成する。単離した血管内皮細胞を培養液を満たしたデイッシュ内に細胞数が1x100000個/mlになるように調整し培養液と共に37℃、95%O2, 5%CO2下にて培養する。3) 血管平滑筋細胞微小電気生理学的検討:血管炎および対照の動脈組織より得られた単離血管平滑筋細胞に対してパッチクランプ法を用いてwhole cell 膜電位依存性CaチャンネルおよびKチャンネル電流の測定を行う。健常血管平滑筋細胞をこんとろーるとする。4) 各培養細胞よりのmRNAの抽出:血管炎が惹起された血管平滑筋細胞および対照の血管平滑筋細胞の培養細胞よりmRNAを抽出する。健常血管平滑筋培養細胞をコントロールとする。5) DNAチップによる網羅的遺伝子発現の評価:DNAチップおよびDNAプロファイリング解析装置を用いて各種培養平滑筋細胞に発現するシグナルを検討する。健常血管平滑筋細胞をコントロールとする。6)定量PCRによる遺伝子発現量の検討:遺伝子プロファイリング解析の結果、発現の変動が確認された遺伝子についてはプローブを用いて TaqMan PCRにより定量PCRを行い、遺伝子発現を定量する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験を遂行するための設備については新たな購入をしなくても現状で十分対応できると考える。研究費の中で一番占める割合が大きいのは実験動物費であり、約30%を占める予定である。その他、薬品・試薬代、実験器具代、消耗品各種代、各種抗体およびプローブの作成料、定量PCRキットが約60%。学会での報告および調査に関わる費用が約10%と推定している。
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Research Products
(11 results)