2013 Fiscal Year Research-status Report
トロンボモジュリンによる重症新生児仮死治療の基礎的研究
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23591599
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高橋 幸博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60142379)
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Keywords | 低酸素性虚血性脳症 / トロンボモジュリン / 脳保護作用 |
Research Abstract |
1.新生児重症仮死児へのトロンボモジュリン投与による神経学的予後改善効果を、投与前の症例と比較したMatched case controlstudyで検討した。その結果、トロンボモジュリンは重症仮死児の短期的、長期的に優位な改善効果があることが、短期的には止血効果の改善として、長期的には頭部MRI、神経発達予後で改善が得られたことを明らかにした。同内容は現在論文作成中である。 2.重症仮死モデルラット作成。モデルラット作成は動物倫理規定を順守し、新生児ラットの頸動脈結紮による脳虚血法に低酸素負荷を加える方法を行った。頸動脈結紮は、片方の頸動脈結紮と頸動脈から内頸動脈まで結紮する2通りの方法で検討した。その後、低酸素負荷のモデルを検討したが、肉眼的、ならびに通常の染色法で脳障害を認めたものは全体の約50%程度で、現在、免疫染色を含め、脳障害発生についての評価を再検討し、次回の実験準備を進めている。また、現時点の仮死ラットモデルでのトロンボモデュリンの効果について、投与群と非投与群を設けて検討したが。肉眼的、通常染色法では、対照群にとの効果判断は困難であったことから、Apotosisを含めた神経免疫染色法で検討を行っている。ただ、トロンボモジュリン投与群は対照群との比較で染色性に明らかに違いがみられており、その差に関しても検討を行っている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
虚血・低酸素負荷仔ラットモデルで、明らかな脳障害をきたすラットが50%程度であり、トロンボモジュリン効果を優位に示すには、より確実なモデル作成が必要である。動物倫理からモデルラット作成は、前回実験の評価を十分に検討を行ったうえで、研究を進めており、そのことが研究の遅延となっている。しかし、トロンボモジュリン投与のパイロット研究では、明らかに染色性の差異が得られていることから慎重に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、これまでの実験で得られた脳組織を免疫染色し再評価を行っており、その結果を踏まえて、次回のモデルマウス作成の準備を進めている。今回のトロンボモジュリン投与のパイロット研究では、同薬剤をモデルラットの腹腔内に投与した。当初、その動物への出血等は生じていないこと、脳組織への変化がみられることから現在投与量を踏まえて次回の検討の準備を進めている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
虚血・低酸素モデルラット作成において、頸動脈結紮とその後の低酸素負荷での脳病変が現在50%前後であり、トロンボモジュリン投与の効果判定には、さらなる低酸素負荷が必要かについて、これまでの脳組織病変を用いて免疫染色にて確認を行っていることから、研究が遅れている。本研究は、1回のモデルラット作成に多くの仔ラットを必要とすることから動物倫理面での配慮が必要なため、研究遂行にあたり慎重に行っており、実験データの検討に時間を要している。 虚血負荷法は確立しており、低酸素を従来法よりさらに負荷する計画で準備を進めている。また、本実験に必要なトロンボモジュリンはすでに確保している。現在の脳病理組織解析結果で、今後の研究がさらに進展すると考えている。
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Research Products
(8 results)