2011 Fiscal Year Research-status Report
短鎖脂肪酸とその受容体発現からみた低出生体重児におけるプロバイオティクスの有用性
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23591601
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 教授 (30260889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 宜一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90338335)
東海林 宏道 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30365621)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 低出生体重児 / プロバイオティクス / 短鎖脂肪酸 / バリヤー機能 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
まず我が国におけるNICUのプロバイオティクス使用の現状について把握するために、2年前に行った一次アンケートをもとに二次アンケート調査を施行した。その結果、B.breve投与の適応は1500g未満の極低出生体重児であり、経腸栄養開始時からの投与が多く、1日量としては0.5~1包(0.6~1.2g)、蒸留水に溶解する場合が多いが、母乳や人工乳に溶解する施設もあり投与期間は施設ごと様々であった。 そこで、安全かつ効果的なB.breve投与方法を検討し、浸透圧を上昇させず菌数の減少を抑えられる投与法として、溶解するものを母乳、人工乳、蒸留水に分け、溶解後の生菌数に及ぼす保存期間やpHの影響をまず確認した。次に、溶解による浸透圧への保存時間の影響を検討し、1包あたりのB.breveを最低8mlの蒸留水に溶解して投与する方法が最も安全で効果的と考えられた。 次に、ラットを用いた腸粘膜におけるB.breve投与による短鎖脂肪酸産生および粘膜バリヤー機能に関与する遺伝子発現をまずDNAマイクロアレイアッセイを用いて検討したが、現時点で明らかに発現の増加を認めたものはなく、今後抗炎症性シグナル伝達分子の発現とも併せて検討していくことが必要と思われた。 新生児・乳児における腸管免疫の特異性について検討を行うことは、プロバイオティクスの有用性を検討するうえでも重要である。そこで、新生児・乳児で時に認められた消化管出血の原因と消化管粘膜の免疫学的異常との関係を検討した。 RT-PCR法による検討では、下血を認めた児の粘膜ではIL-6, CXCL13, CCL11などの発現がコントロールと比し有意に亢進していた。また、組織染色ではCD3陽性細胞の浸潤を認める一方、リンパ濾胞を中心にCXCL13の発現が確認され、粘膜においては多くのIgA陽性細胞を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安定化前状態のT84細胞を用いた粘膜細胞機能におけるプロバイオティクスの効果の検討が、細胞培養室の問題などから現時点で開始されておらず、この部分で計画に遅れが出ている。また実際にB.breveを投与された低出生体重児の長期的な効果(抗アレルギー効果など)についても、調査を開始したところであり、若干計画より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
B.breve使用状況の二次アンケート調査結果をもとに、投与方法の統一化を多施設で行ってその有用性を検討し、DNAマイクロアレイアッセイを用いた短鎖脂肪酸受容体発現の検討を、抗炎症性シグナル伝達分子の発現と併せて調べ、培養細胞を用いた粘膜機能に対するプロバイオティクスの効果の検討を開始していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
なし
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