2012 Fiscal Year Research-status Report
短鎖脂肪酸とその受容体発現からみた低出生体重児におけるプロバイオティクスの有用性
Project/Area Number |
23591601
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 教授 (30260889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 宜一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90338335)
東海林 宏道 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30365621)
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Keywords | 低出生体重児 / プロバイオティクス / 短鎖脂肪酸 / バリヤー機能 / マイクロアレイ / Bifidobacterium / IgA |
Research Abstract |
低出生体重児の合併症を軽減する目的で近年使用されることの多いプロバイオティクスの有用性を、腸内細菌によって産生される短鎖脂肪酸の持つ多彩な生理作用から解明することを目的に本年度の研究をスタートした。 まず我が国におけるNICUのプロバイオティクス使用の現状について把握するために、既に行っている一次アンケートをもとに二次アンケート調査を施行した。その結果、B.breve投与の適応は1500g未満の極低出生体重児であり、経腸栄養開始からの投与が多く、1日量としては0.5~1包(0.6~1.2g)、蒸留水に溶解する場合が多いが、母乳や人工乳に溶解する施設もあり投与期間は施設ごと様々であった。これらの結果を受け、浸透圧を上昇させず菌数の減少を抑えられる投与法として、1包あたりのB.breveを最低8mlの蒸留水に溶解して投与する方法が最も安全で効果的であることが確認され、この投与方法にて検討を行っている。 次に出生直後および離乳期の仔ラットを対象に、プロバイオティクスを投与した群とそうでない群の腸管粘膜における免疫関連分子の発現をmicroarray、RT-PCR、免疫組織染色を用いて比較検討した。仔ラットにB.breveを投与したところBifidobacteriumの割合が増加した一方、Bacteroidesの割合の減少を認めた。MicroarrayおよびRT-PCRを用いた炎症性シグナル分子の発現については、新生児期の仔ラットにB.breveを投与した際、glutathione peroxidase 2などの炎症関連分子の発現の抑制を確認し、その抗炎症効果が示唆された。さらに、リンパ濾胞の増殖因子であるCXCL13などの発現亢進および組織におけるIgA産生の亢進を認め、免疫寛容の誘導により適した環境が誘導されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安定化前状態のT84細胞を用いた粘膜細胞機能におけるプロバイオティクスの効果の検討が、細胞培養室の問題などから現時点で開始されておらず、この部分で計画に遅れが出ている。また実際にB.breveを投与された低出生体重児の長期的な効果(抗アレルギー効果など)についても、調査を開始したところであり、若干計画より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
B.breve使用状況の二次アンケート調査結果をもとに、投与方法の統一化を多施設で行ってその有用性を検討し、DNAマイクロアレイアッセイを用いた短鎖脂肪酸受容体発現の検討を、抗炎症性シグナル伝達分子の発現と併せて調べ、培養細胞を用いた粘膜機能に対するプロバイオティクスの効果の検討を開始していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品購入費を見積りより安く抑えられたため、今年度は10,410円の残金が出た。次年度は、この残金を消耗品の購入費に組み込んで研究計画を立て使用していく予定である。
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