2011 Fiscal Year Research-status Report
Na/Ca交換輸送が胎児・新生児の動脈管と末梢肺動脈の血管緊張度にはたす役割
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23591605
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
勝部 康弘 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20246523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 俊一 日本医科大学, 医学部, 教授 (50194436)
深澤 隆治 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80277566)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Na/Ca交換輸送 / 血管平滑筋 / 動脈管 / 胎児 / 収縮 |
Research Abstract |
[背景] Na+/Ca2+交換輸送体は、細胞膜における1Ca2+と3Na+の交換輸送を担い、心筋細胞においてその収縮・拡張機構に大きな役割を演じる。Na+/Ca2+交換輸送電流は、新生仔において成獣の3~4倍大きく、発達に伴い大きく変動する。胎仔・新生仔の動脈管・肺動脈のNa+/Ca2+交換輸送が血管緊張度に果たす役割についての研究はまだない。[目的] Na+/Ca2+交換輸送体(Solute carrier family 8 (Slc8A), member 1, 2, 3) mRNA発現量の発達に伴う変化を検討すること。[方法]家兎胎仔(妊娠21, 27, 30日)及び生後2日の新生仔の主肺動脈・動脈管・下行大動脈、並びに成獣の主肺動脈・大動脈・心臓・肺からtotal RNAを抽出し、逆転写反応によりcDNAを調製した。Slc8A1, 2, 3 mRNAの発現量をreal-time PCR法により定量し、リボソーマル RNA 18Sを内部標準として各試料を比較した。[結果] Sla8A1及び8A3は成獣の心臓で最も高発現であり、Slc8A2はまったくBGレベルであった。胎仔及び新生仔の動脈管・肺動脈・大動脈では、全般にSlc8A1が8A2や8A3より高発現であった。Slc8A1と8A2は肺動脈・大動脈より動脈管で高く、胎仔の成熟に従って発現量はやや低下した。Slc8A3は胎仔肺動脈や動脈管より大動脈で高い傾向があり、成熟するにつれて増加した。[結論]胎仔や新生仔のこれら3血管においては、Slc8A1がSlc8A2やSlc8A3に比べて高発現であり、加えて動脈管においてより高発現であることから、Na+/Ca2+交換輸送体Slc8A1が胎仔・新生仔の動脈管の血管緊張に関与している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究は主として分子生物学的アプローチを中心に行う計画を立て、概ね達成できたと考えている(研究成果の概要参照)。1.家兎胎児(21日、23日、30日)、新生仔(日令2)、成獣から動脈管、肺動脈、大動脈の血管組織を摘出した。2.摘出した血管組織からScl8A1,2,3のmRNAの発現量を測定した。3.各組織間、各発達、Slc8Aのmember間での発現量の違いを比較した。4.Scl8A1のクローンとGFPをHEK293細胞に供発現させることに成功した。なお、研究成果の一部を第48回日本小児循環器学会(平成24年7月:京都)で報告予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究はパッチクランプ法を用いた電気生理学的研究を中心に研究を遂行する予定である。平成23年度の研究で、動脈管に存在するNa/Ca交換輸送体のクローン(Slc8A1)をHEK293細胞にGFPと共に導入することに成功しており、平成24年度の研究ではこれを用いて実験を遂行する。電流測定の条件としては特に、低酸素・高酸素条件でのNa/Ca交換輸送電流の変化に注目したい。また、動脈管依存性先天性心疾患の治療で用いられている各種薬剤のNa/Ca交換輸送電流に対する効果も合わせて検討してみたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の多くは作成したクローンの管理ならびにパッチクランプ法の研究に用いることになります。現時点では備品の購入予定はありません。費用の多くは消耗品の購入に充てる予定ですが、一部を研究発表のための旅費として使用させて頂きます。
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