2013 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚腫瘍におけるメルケル細胞ポリオーマーウイルスの病原性の証明
Project/Area Number |
23591610
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
金子 高英 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (20333718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 創 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90281922)
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Keywords | ポリオーマーウイルス / メルケル細胞癌 / 皮膚悪性腫瘍 |
Research Abstract |
近年メルケル細胞癌に原因としてメルケル細胞ポリオーマーウイルス(MCV)が見つかったが、メルケル細胞癌以外の皮膚悪性腫瘍でその関連が注目されている。本研究は、イムノPCRを用いMCVを病変部に検出し、またMCVのLarge T抗原遺伝子導入による細胞不死化を証明し、それらの腫瘍にMCVが強く関連することを明らかにする。一般にMCVは細胞増殖関連ウイルスで、細胞に感染するとMCV の遺伝子からLarge T抗原が翻訳され、癌抑制遺伝子産物p53とRB蛋白は細胞のサイクルを調節しているが、Large T抗原は二つの蛋白に結合、機能を抑制することにより、細胞分裂が止まらなくなり増殖し続けるようになる。MCVがメルケル細胞癌以外の皮膚悪性腫瘍などの原因となっているかを証明するためにMCVの存在と病変誘導活性の2点が目的。1)MCVの存在:蛋白質の検出感度の高いイムノPCRでMCV発現蛋白を検出する。組織in situイムノPCRを実現、腫瘍組織レベルでのMCV蛋白の存在を証明する。2)病変誘導活性:MCVのLarge T抗原の発現ベクターを構築し、人表皮細胞・線維芽細胞に導入し細胞の不死化、基底細胞癌、脂漏性角化症などの腫瘍細胞にベクターを導入して、培養細胞の株化を確立する。3)メルケル細胞癌の症例を蓄積、臨床情報を検討・解析する。本期間中10例のメルケル細胞癌の新規症例を蓄積した。内訳は男性6例、女性4例。平均年齢は75歳、部位は顔面発生8例、上下肢各1例。前駆病変を伴った症例は皆無。初回治療時に転移を認めた症例はなかった。生検による自然消褪傾向は1症例もなかった。治療は8例、手術療法を施行し、2例に放射線治療を施行。今回のサンプルとなった腫瘍からMCVの検出を試み、いずれも検出されず、感度のよい方法の開発が必要である。またIn situ immune PCRでは条件を変えていったが、陽性所見は得られず、さらに最適条件の探索が必要と思われた。
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