2012 Fiscal Year Research-status Report
尋常性天疱瘡の分子病態・シグナル伝達解明とデスモソームの制御機構
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23591620
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
青山 裕美 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90291393)
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Keywords | 天疱瘡 / 尋常性天疱瘡 / 落葉状天疱瘡 / 病態 / 治療 |
Research Abstract |
難治な自己免疫性水疱症である天疱瘡病因病態を解明する. 新規の病因性シグナル伝達経路を見いだすためのプロテオ-ム解析.病因性モノクロナル抗体(AK23)と非病因性モノクロナル抗体(AK20)作用下で発現分解するタンパク分子の検討をプロトマップ法で行った.方法:培養表皮細胞を病因性モノクロナル抗体(mAb)AK23と非病因性mAbAK20で刺激後可溶化し、1Dゲルで分離後分子量ごとにゲルを切り出し、消化後LC-MS/MSでプロテオーム解析を行った.得られたタンパクのデータは1500種に及び,コントロールに対して病因性抗体および非病因性抗体処理後に有意に差がみられた分子がそれぞ40-50種類見いだされた.その分子は多岐に渡っており,細胞接着分子,細胞外マトリクス関連分子,核内タンパクなどであった.次年度では,これらの分子の発現を実際に病理組織標本や培養系で局在と発現を確認する. 臨床症状と血清デスモグレイン3抗体価が逆相関する症例における病態解析.症例の抗体エピトープと病変部のデスモソーム構成分子の発現解析を行った.結果抗体価が低くても天疱瘡に特徴的な病態が観察された症例があり,抗体価以外に病因性を規定する要因があることが明らかになった. 尋常性天疱瘡と増殖性天疱瘡(天疱瘡の亜型)の病態解析.尋常性天疱瘡と増殖性天疱瘡の病変部組織の免疫染色と,患者血清よりIgG分画を精製し培養細胞に添加して得られたサンプルを用いて,ウエスタンブロッティングを行い,細胞増殖に関わる伝達経路(Src, AKT, EGF等)を解析した.結果 増殖性天疱瘡の病変部位でEGFRの発現の亢進があり,増殖性天疱瘡IgG刺激後の培養細胞でEGFRのリン酸化が亢進していた.今後,両疾患の違い比較する中で,病因がデスモグレイン3抗体,もしくは他の抗体分子や免疫担当細胞の関与について検討を加える予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロテオーム解析を2回に渡り検討し,候補分子を見いだすことができた.発現や局在の変動を見いだすことは最終年度に終了することは技術的に可能である. 病因性抗体,非病因性抗体の検討については,EDTA ELISA法を確立し,臨床症例で検討し論文化した.例外的な症例についてより詳細な検討を行い完了した.今後論文化予定. 尋常性天疱瘡の病因シグナルの候補の一つにEGF受容体が見いだされていたが,真偽については統一した見解が得られていなかった.天疱瘡の亜型で,天疱瘡と同様に抗デスモグレイン3抗体を有する増殖性天疱瘡の検体を入手することができたので,尋常性天疱瘡と比較検討できた.まだ完全にデータがでておらず,確定的な結論に至ってはいないが,実験は順調に進んでおり,尋常性天疱瘡におけるEGF受容体経路の重要性を増速性天疱瘡と比較検討することによって明らかにすることが近い将来可能と予想している.
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Strategy for Future Research Activity |
プロテオ-ム解析の結果を参考に,抗体で天疱瘡病変部組織と培養実験系で発現をスクリーニングし,研究対象を絞る. 尋常性天疱瘡と類似点相違点のある疾患としての増殖性天疱瘡におけるEGF受容体シグナルの検討は,比較検討することにより尋常性天疱瘡病因シグナルの理解に結びつくため,重要なプロジェクトである.病因に関して抗体の関与に的を絞って行い,年度内に論文化を予定する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
必要な消耗品の購入と,論文作成ならびに学会報告に使用する予定である.
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Research Products
(10 results)