2011 Fiscal Year Research-status Report
170kD腫瘍随伴性天疱瘡など7種の未知自己免疫性水疱症抗原のプロテオミクス解析
Project/Area Number |
23591634
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
荒川 正崇 久留米大学, 医学部, 助教 (70441623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土坂 享成 久留米大学, 医学部, 研究員 (50599313)
橋本 隆 久留米大学, 医学部, 教授 (20129597)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 皮膚診断学 / 皮膚免疫学 / 自己免疫性水疱症 / 腫瘍随伴性天疱瘡 / 粘膜類天疱瘡 |
Research Abstract |
自己免疫性水疱症は、皮膚抗原に対する自己抗体を示す疾患群である。これらの自己抗体が反応する抗原は多彩であり、その検出が診断に重要なものとなっている。現在、その多くにおいて、その自己抗原が明らかとなっているが、未だ自己抗原が明らかでないものも存在し、本研究では、各種の免疫学的、生化学的、分子生物学的手法を用いて、それら未知の自己抗原を同定することを目的とする。平成23年度における各自己免疫性水疱症に分けて研究概要を記述する。1,薬剤誘発性天疱瘡と考えられる多数の症例について、その原因薬剤と皮疹の関連性を検討し、各症例の血清を用いて、表皮抽出液の免疫ブロット法、Dsg1/Dsg3 ELISA、免疫沈降法を施行して抗原抗体解析を行った。 2,腫瘍随伴性天疱瘡の170kDa抗原を同定し(Schepens I, Hashioto T et al, PLoS One 2010)、多数のPNP患者血清中のA2ML1抗体の有無を調べた。3,多数のIgG/IgA天疱瘡血清をCos7トランスフェクション法にて、Dsg1/Dsg3のみならず、デスモコリン1-3にも反応することを示した。デスモコリンcDNAを用いて、デスモコリンの細胞外ドメインを有するバキュロクローンを作製し、産生したリコンビナント蛋白を用いて、ELISA法でデスモコリンに反応することを確認した。4,眼粘膜のみの病変を示す眼粘膜類天疱瘡(ocular MMP)に関しても、その自己抗原は未知である。渉猟・保存している多くocular MMP患者血清を用いて、その自己抗原の同定を試みた。まず、ヒト培養ケラチノサイトから多くのヘミデスモソーム蛋白が濃縮している画分を精製し免疫ブロット法にて、多くの患者血清がヘミデスモソームの重要な構成蛋白であるインテグリンベータ4に反応することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)薬剤誘発性天疱瘡の自己抗原、(2)腫瘍随伴性天疱瘡未知におけるp170、(3)IgA/IgG天疱瘡の自己抗原、(4)眼瘢痕性類天疱瘡の自己抗原に関する研究において、いずれも新知見が得られ、それら疾患群に関する研究の発展のみならず、診断/治療に大きく貢献できることが期待できた。これまでのところ、昨年に提出した交付申請書のタイムテーブルにほぼ沿う形で進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
眼型粘膜類天疱瘡の自己抗原の同定を試みにおいて、インテグリンベータ4の細胞内ドメインのリコンビナント蛋白を精製し、それを用いた免疫ブロット法と、インテグリンベータ4のcDNAの単離を進めている。また研究課題に挙げているその他の残りの未知自己免疫性水疱症抗原のプロテオミクス解析を進める予定である。 ある地方に風土病的に発症するendemic pemphigusとして知られるBrazil天疱瘡, Tunisia天疱瘡, Colombia天疱瘡の患者血清を、免疫沈降法で検索し、Dsg1あるいは各種のプラキンファミリー蛋白に反応していることを確認する。また、病変発症前の患者血清あるいは非患者である家族の血清を、Dsg1 ELISAで検討し、病変発症前あるいは未発症の家族にも抗体産生が生じているかどうかを検討する。 多くの粘膜類天疱瘡の血清から表皮抽出液を用いた免疫ブロット法により検索し、p165抗原に反応する血清を集める。その血清の反応と多くの細胞外マトリクス蛋白、あるいは基底膜部の細胞接着因子の反応とを比較して、候補となる蛋白を探し出す。また患者血清を用いて、ケラチノサイトcDNAライブラリーを免疫スクリーニングして、抗原を同定する。 抗p105類天疱瘡抗原のp105の性質を同定のために、ケラチノサイトcDNAライブラリーを免疫スクリーニングして、抗原のcDNAを単離することを試みる。この方法で検出できない場合は、各種のカラムクロマトグラフィーを用いて、この蛋白の精製を試みる。その後、二次元電気泳動を用いたプロテオミクスの手法を用いて、抗原蛋白のスポットを同定し、その部位から得たサンプルのアミノ酸解析により、抗原蛋白を同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24 年度に施行する研究において、PCR 法・ダイレクトシークエンス法などに必要な設備備品は当研究室に設置されているため、消耗品のみが必要となる。一般実験試薬、一般実験器具、各種抗体、各種酵素、タンパク質精製試薬・装置、細胞培養液、牛血清アルブミン等のほかに二次元電気泳動、免疫ブロット法に必要な器具、資料、消耗品に費用がかかる。研究経費のすべては研究に要する実験試薬・実験器具、そのほかの消耗品が占める。研究の速やかな遂行を図るため必要最低限の設備備品の購入を予定している。さらに、プロテオミクスを用いたマススペクトロメトリー法による質量解析には、一件体当たり、5 万円前後の費用がかかり、全体としては30-40 検体の検索を概算すれば、約200 万円の費用が予想される。分子生物学実験試薬 800,000分子生物学実験器具 600,000 マイクロアレイ解析委託 2000,000
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