2012 Fiscal Year Research-status Report
170kD腫瘍随伴性天疱瘡など7種の未知自己免疫性水疱症抗原のプロテオミクス解析
Project/Area Number |
23591634
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
荒川 正崇 久留米大学, 医学部, 助教 (70441623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土坂 享成 久留米大学, 医学部, 研究員 (50599313)
橋本 隆 久留米大学, 医学部, 教授 (20129597)
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Keywords | 皮膚診断学 / 皮膚免疫学 / 自己免疫性水疱症 / 薬剤誘発性天疱瘡 / 腫瘍随伴性天疱瘡 |
Research Abstract |
現在、多くの自己免疫性水疱症においてその自己抗原が明らかとなっているが、未だ自己抗原が明らかでないものも存在し、本研究ではそれら未知の自己抗原を同定することを目的とする。平成24年度における主だった研究概要を記述する。 1)薬剤誘発性天疱瘡と考えられる症例について、さらなる症例追加を行い、その原因薬剤と皮疹の関連性を検討し、各症例の血清を用いて、表皮抽出液の免疫ブロット法(IB)、ELISA、免疫沈降法を施行して抗原抗体解析を行った。 2)腫瘍随伴性天疱瘡(PNP)患者血清中のA2ML1(170kDa)抗原に対する自己抗体に関して多岐にわたる研究を行った。蛍光抗体染色においては、患者血清を用いても同様の発現パターンを示し、p170がA2ML1であることを強く示唆する結果を得た。さらに、PNPにおける抗A2ML1抗体の検索は、病態把握に有用となる可能性が示唆された。さらにリコンビナントA2ML1タンパクを用いた免疫沈降法-免疫ブロット法(IP-IB法)と、NHK cell extractsを用いたnon-reducing-IBにて検出を行った。またプラキンファミリー蛋白であるエピプラキンもPNP自己抗体である可能性を考え、PNP患者血清と、平常ヒト表皮抽出液及びヒトの有棘細胞癌から分離されたKU-8細胞の抽出液を用いたIBを行い検討した。またKU-8細胞及び正常ヒト細気管支(NHSAE)細胞の抽出液でIP-IB法を行った。表皮抽出液とKU-8細胞抽出液でのIBでは、PNP患者血清におけるエピプラキンに対する反応は確認できなかった。この結果から、エピプラキンの高次構造上のエピトープに反応している可能性を考え、KU-8細胞抽出液でIP-IBを行ったところ、PNP患者血清でエピプラキンの反応を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)薬剤誘発性天疱瘡の自己抗原、(2)腫瘍随伴性天疱瘡未知におけるA2ML1抗体と臨床症状の相関性の検討、エピプラキンのPNP自己抗体に関する研究において、いずれも新知見が得られ、それら疾患群に関する研究の発展のみならず、診断/治療に大きく貢献できることが期待できた。これまでのところ、交付申請書のタイムテーブルにほぼ沿う形で進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
眼型粘膜類天疱瘡の自己抗原の同定を試みにおいて、インテグリンベータ4の細胞内ドメインのリコンビナント蛋白を精製し、それを用いた免疫ブロット法と、インテグリンベータ4のcDNAの単離を進めている。また研究課題に挙げているその他の残りの未知自己免疫性水疱症抗原のプロテオミクス解析を進める予定である。 ある地方に風土病的に発症するendemic pemphigusとして知られるBrazil天疱瘡, Tunisia天疱瘡, Colombia天疱瘡の患者血清を、免疫沈降法で検索し、Dsg1あるいは各種のプラキンファミリー蛋白に反応していることを確認する。また、病変発症前の患者血清あるいは非患者である家族の血清を、Dsg1 ELISAで検討し、病変発症前あるいは未発症の家族にも抗体産生が生じているかどうかを検討する。 多くの粘膜類天疱瘡の血清から表皮抽出液を用いた免疫ブロット法により検索し、p165抗原に反応する血清を集める。その血清の反応と多くの細胞外マトリクス蛋白、あるいは基底膜部の細胞接着因子の反応とを比較して、候補となる蛋白を探し出す。また患者血清を用いて、ケラチノサイトcDNAライブラリーを免疫スクリーニングして、抗原を同定する。 抗p105類天疱瘡抗原のp105の性質を同定のために、ケラチノサイトcDNAライブラリーを免疫スクリーニングして、抗原のcDNAを単離することを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に施行する研究において、PCR 法・ダイレクトシークエンス法などに必要な設備備品は当研究室に設置されているため、消耗品のみが必要となる。 一般実験試薬、一般実験器具、各種抗体、各種酵素、タンパク質精製試薬・装置、細胞培養液、牛血清アルブミン等のほかに二次元電気泳動、免疫ブロット法に必要な器具、資料、消耗品に費用がかかる。研究経費のすべては研究に要する実験試薬・実験器具、そのほかの消耗品が占める。研究の速やかな遂行を図るため必要最低限の設備備品の購入を予定している。 分子生物学実験試薬 700,000 分子生物学実験器具 600,000
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