2012 Fiscal Year Research-status Report
蛍光HIVの表皮侵入機構の可視化と新規HIV侵入阻害薬の開発
Project/Area Number |
23591641
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川村 龍吉 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (70262657)
|
Keywords | マイクロビサイド / 性行為HIV感染 |
Research Abstract |
目的)ex vivo 経皮膚HIV感染モデルを用いて、表皮内ランゲルハンス細胞のHIV感染に対して、新たな抗ウイルス薬EFdAが感染予防効果を持つかを検討することにある。 方法)健常ボランティアから皮膚(表皮)を表皮水疱蓋として採取する。あらかじめEFdA、TenofovirおよびMVCなどの抗ウイルス薬を角質側を下にした表皮シートをのせる。30分後に各々の表皮にHIVを曝露する。2時間後表皮シートを洗浄し、培養液に浮かべる。HIV曝露3日後に表皮シートから遊走した細胞をPE標識抗langerin抗体およびAPC標識抗CD11c抗体(LCマーカー)で染色後、FITC標識抗HIVp24抗体で細胞内染色し、フローサイトメトリーにてLCのHIV感染率を解析する。 結果)EFdA、TenofovirおよびMVCの各薬剤の前処置は、100-5000 ng/mlのそれぞれの濃度において、表皮内LCのHIV感染を有意に抑制した。驚くべきことに、EFdAによるLCのHIV感染抑制効果はいずれの濃度においても最も強く、ほぼ100%の抑制効果が得られた。またEFdA、TenofovirおよびMVCの各薬剤(1000 ng/ml)の前処置は、HIV感染LCからCD4陽性T細胞へのウイルス播種を有意に抑制した。EFdAによるHIV感染LCからのウイルス播種抑制効果は最も強く、ほぼ100%の抑制効果が得られた。 意義)今回の研究結果は、新規抗HIV薬EFdAがLCのex vivo HIV感染抑制実験において、Tenofovirに比べて格段に優れた感染抑制効果を持つことが示唆され、EFdAをマイクロビサイドとして使用することによって、性行為HIV 感染をより確実に予防できる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EFdAは、マイクロビサイドとして、Tenofovirよりも格段に優れた性行為HIV感染予防効果が期待できる結果が得られた。この臨床的意義は大きく、マイクロビサイドとしてはEFdAが現時点で最も強力に性行為HIV感染を予防できる薬剤:マイクロビサイドであると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
薬剤曝露とHIV曝露の間隔をあけることによって、EFdAとTenofovirの阻害効果の持続時間を比較検討し、EFdAが性行為HIV感染における新たなHIV侵入予防薬(マイクロビサイド)として臨床応用可能であるかを検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、HIVBaLの購入や培養液などすべて消耗品の購入に使用する予定である。 また未使用金(23,197円)は、ランゲルハンス細胞同定に必要な抗langerin抗体の購入にあてる予定である。
|