2012 Fiscal Year Research-status Report
皮膚におけるパントンバレンタインロイコシジンの発現機構と病態形成の解明
Project/Area Number |
23591646
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山崎 修 岡山大学, 大学病院, 講師 (90294462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森実 真 岡山大学, 大学病院, 助教 (80423333)
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Keywords | パントンバレンタインロイ / PVL / せつ / 黄色ブドウ球菌 / 皮膚細菌感染症 / 好中球 / 国際情報交換 / フランス |
Research Abstract |
① PVL毒素発現制御機構の解明 黄色ブドウ球菌より産生されるパントンバレンタイン型ロイコシジン(PVL)の皮膚病変部での発現機構と病態形成を解明する目的で研究した。黄色ブドウ球菌のグローバルな毒素制御因子であるAgr、SarA、SigBの遺伝子欠損株を作製しin vitroでの PVL産生能について検討し、組み合わせにより数種類のPVL高発現株を作成した。in vitroではSigBの欠損株がPVL高発現株であった。高発現株をウサギ皮膚に接種し、PVL陽性基準株、PVL陰性株と形態的、病理組織学的な比較検討を行ったが、有意差はなかった。PVLが発現するためにはある特別な環境が必要であることがわかった。 ② PVL、PSMの線維芽細胞、ケラチノサイト、血管内皮細胞に与える影響 PVLによる壊死の病態解明を目的に 好中球以外の細胞を介した炎症の惹起や好中球の活性化については検討した。ケラチノサイトや培養線維芽細胞を使用し、PVL毒素を暴露させ、IL-8の産生についてリアルタイム-PCRとELISA で測定した。PVLの線維芽細胞に与える影響についてはIL-8mRNAレベルが24時間後ではLukF-PV、LukS-PVの刺激でともにコントロールよりも有意に高かったが、ELISAでは各群に有意差はなかった。PVLのケラチノサイトに与える影響についてはIL-8mRNAレベルが8時間後でLukF-PV、LukS-PVともにコントロールよりも有意に高く、さらにLukF-PV+LukS-PVで相加作用が認められた。PVLの血管内皮細胞に与える影響についてIL-8mRNAレベルがLukF-PV+LukS-PVで相乗作用がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PVL毒素発現制御機構の解明や病態形成については、概ね予定通り実施したが、関連病院ネットワークを通じた黄色ブドウ球菌性全身感染症との関係についての疫学調査については黄色ブドウ球菌性の重症全身感染症(壊死性肺炎、心内膜炎、骨髄炎、敗血症など)から分離された株についてはPVLの陽性株が少ないのが現状であり、その追跡調査はできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
PVLによる病態形成への関与について重点を置いて進めていく予定である。 ① PVLのケラチノサイトに与える影響:ケラチノサイトに、PVL毒素を暴露させ、IL-8以外の他のサイトカインの産生についてリアルタイム-PCRとELISA で測定する。 ② PVLの血管内皮細胞に与える影響:培養血管内皮細胞を使用し、PVL毒素を暴露させ、IL-6、IL-8、IL-12、TNF-α、IFNβなどの産生についてELISAキット、リアルタイム-PCRで測定する。またHumanβデフェンシン(HBD)やLL-37の抗菌ペプチドについても検討する。また、好中球をPVLで刺激して、その上清と培養血管内皮細胞を暴露させ、その影響にについて検討する。 ③ 黄色ブドウ球菌性全身感染症との関係についての疫学調査:当院および関連病院における黄色ブドウ球菌性の重症全身感染症(壊死性肺炎、心内膜炎、骨髄炎、敗血症など)から分離された株について、PCR法にてPVLのスクリーニングを行う。臨床情報については、特に皮膚病変(せつ、膿瘍)の合併の有無や既往歴の調査を引き続き行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(22 results)
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[Presentation] 限局性銀皮症の1例2012
Author(s)
神谷浩二、立川聖子、山崎 修、岩月啓氏、辻 和英
Organizer
日本皮膚科学会中部支部学術大会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
20121013-20121014
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