2011 Fiscal Year Research-status Report
デルマトポンチンにより活性化されたフィブロネクチンは抗腫瘍活性を持つのか
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23591648
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
岡本 修 大分大学, 医学部, 講師 (40284799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 作平 大分大学, 医学部, 教授 (90181411)
松尾 哲孝 大分大学, 医学部, 准教授 (10284788)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | デルマトポンチン / フィブロネクチン / フィブリン / 創傷治癒 |
Research Abstract |
デルマトポンチン(DP)がフィブロネクチンおよびフィブリンと複合体を形成することから、我々はDPとフィブリノーゲンとの相互作用を検討した。その結果DPはフィブリンと同様フィブリノーゲンとも相互作用することが新たに判明した。DP側のフィブリノーゲン相互作用部位はDP-4と呼ばれるペプチドであり、フィブリノーゲン側のDP相互作用部位はDドメインと呼ばれる部分であった。DPによるフィブリノーゲンの不溶化作用は弱かったが、DP-4ペプチドは明らかなフィブリノーゲンの不溶化作用を持っていた。DPにより高分子化して不溶化したフィブリノーゲンは直線的な比較的短い線維を形成した。またDPはフィブリノーゲンからフィブリンが形成される過程を促進し、DP存在下で形成したフィブリンは通常のフィブリンよりも太い線維を形成した。DPはフィブリン線維への血管内皮細胞の接着能を増強しなかったが、細胞質のスプレッディングを促進しており、それに関わるレセプターはαVβ3インテグリンが主な分子種であった。以上の知見は申請時には予期しなかった成果である。一方フィブロネクチンに関してもDP-4ペプチドが相互作用部位であり、DP-4ペプチドも明らかなフィブロネクチン不溶化作用を有していた。DP-4ペプチド存在下で形成したフィブロネクチン線維はDP存在下で形成した線維に比べてやや太く、短いものであった。DP-4ペプチドはフィブリン‐フィブロネクチン複合体の形成を促進し、線維芽細胞の接着を増強した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分子化して不溶化したフィブリノーゲンも不溶化フィブロネクチンと同じく抗腫瘍作用を有する。DPあるいはその活性ペプチドがフィブリノーゲンの不溶化作用を持つならば、すでに判明している不溶化フィブロネクチンとともに単独、そしてこれらの組み合わせで抗腫瘍活性を検討するのが効果的な手法である。今回DP-4ペプチドが明らかなフィブリノーゲンの不溶化能を持つことが確認されたことから、DP-4を使うことにより不溶化フィブロネクチンと不溶化フィブリノーゲンの両者を作成することが可能である。つまりこれらの分子の抗腫瘍活性を同じ実験期間で検討できると考えられる。フィブロネクチン側のDP結合部位の同定と、VEGFの機能の修飾がまだ完了していないが、本来の研究計画を遂行する上での大きな遅れはないと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
VEGFの活性修飾を不溶化フィブロネクチン、不溶化フィブリノーゲンあるいはDP-フィブリンマトリックスを用いて同時進行で検討する。不溶化フィブロネクチン、不溶化フィブリノーゲンを用いて24年度の計画通りにマウスに接種した腫瘍に対する抗腫瘍活性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DPおよびDPの活性ペプチドにより不溶化したフィブロネクチン、フィブリノーゲン、そしてDP存在下で形成したフィブリンマトリックスの創傷治癒活性を、マウスモデルを使って検討したい。不溶化フィブロネクチン、不溶化フィブリノーゲンの抗腫瘍作用が確認されれば、抗腫瘍作用の発現機序を、血管新生の見地から明らかにしたい。
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[Journal Article] Dermatopontin interacts with fibronectin, promotes fibronectin fibril formation, and enhances cell adhesion.2011
Author(s)
Kato A, Okamoto O, Ishikawa K, Sumiyoshi H, Matsuo N, Yoshioka H, Nomizu M, Shimada T, Fujiwara S.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 286
Pages: 14861-14869
Peer Reviewed
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