2013 Fiscal Year Annual Research Report
難治性慢性炎症疾患における自己炎症シグナル活性化の探索のための基盤創成
Project/Area Number |
23591651
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
金澤 伸雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90343227)
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Keywords | 自己炎症疾患 / 中條-西村症候群 / PSMB8 / プロテアソーム |
Research Abstract |
本研究は、稀少な遺伝性自己炎症疾患の解析によって、遺伝子変異に基づくプライマリな炎症制御シグナル異常の存在を明らかにし、さらに様々な慢性難治性炎症疾患におけるそれらの異常シグナルの関与を検知するシステムを構築し、各疾患・症例ごとに検討することによって、各疾患の病態解明やテーラーメード治療の開発への応用を目指すものである。初年度の平成24年度は主に和歌山・泉南地域に患者が集中しPSMB8 G201V変異による中條-西村症候群、平成24年度は新規IL36RN変異が同定された汎発性膿疱性乾癬、新規LIG4変異が見出された複合型免疫不全症、KRT16変異が見出された先天性爪甲肥厚症などの遺伝性炎症・皮膚疾患患者について、遺伝子変異と関連する細胞異常の検索を行った。最終年度の平成25年度は、中條-西村症候群が疑われて当科に紹介されたがPSMB8変異が見いだされない症例の中から、中條-西村症候群の臨床診断基準案を満たす2症例と寒冷蕁麻疹の臨床像をとる1症例についてエキソーム解析を行い、前者の1症例において免疫プロテアソーム構成サブユニット、後者において新たなNLRファミリー分子をコードする遺伝子に有力な変異を見いだした。前者においてはそのサブユニットの酵素活性の低下とともに末梢血単核球・皮疹生検組織におけるユビキチンの蓄積を確認中である。一方、後者においては変異遺伝子によるNF-kappaBリポーターアッセイとともに末梢血単核球・皮疹生検組織におけるASC・活性化カスパーゼ1の検出によるインフラマソーム形成の有無を確認中である。当初目標であった非遺伝性の慢性難治性炎症疾患における自己炎症シグナル解析が十分になされたとはいえないが、新たな遺伝性炎症・皮膚疾患における炎症シグナルの解明を進めその基礎データを蓄積することができ、今後の更なる展開が期待できる。
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Research Products
(32 results)