2011 Fiscal Year Research-status Report
神経ペプチドのIgE依存性アレルギー反応に対する調節作用の解析
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23591654
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
水川 良子 杏林大学, 医学部, 講師 (50301479)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 神経ペプチド / アレルギー反応 / IgE |
Research Abstract |
本研究において我々は、表皮に恒常的に発現している神経ペプチドNeuromedin U(NMU) が肥満細胞を活性化する機序を明らかにするとともに、この反応とIgEとの相互関係を明らかにすることを目的とし各種検討を行う予定である。 本年度は、(1) NMUの欠如が表皮構築に及ぼす影響を明らかにするために、NMU-/-マウス耳翼の角質水分量 (SSH) および経表皮水分蒸発量 (TEWL) の測定、 (2) NMUがIgE依存性のアレルギー反応に及ぼす影響を確認するために、NMU-/-マウスの耳翼を用いてハプテン(TNCB; 2,4,6-trinitro-chrolobenzene)繰り返し塗布を行い、耳翼厚、 ITH、血清IgEレベル、掻破数の経時的測定を行った。 その結果、(1) NMU-/-マウス耳翼はC57BL/6や他の遺伝子改変マウスの耳翼と同程度のTEWLを示しバリア機能の異常はないと考えられたが、SSHは著明に低下し水分保持能の低下があることが示唆された。(2) NMU-/-マウスではC57BL/6に比較して、耳翼へのハプテン繰り返し塗布によるIgE依存性のアレルギー反応が顕著であり、NMUの欠損は IgE依存性のアレルギー反応を起こしやすくすることを明らかにした。つまり、NMUはIgE依存性のアレルギー反応を抑制していることを意味し、IgE依存性の肥満細胞の脱顆粒を抑制していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の達成目標として(1) NMUの欠如が表皮構築に及ぼす影響を明らかにする (2) NMUがIgE依存性のアレルギー反応に及ぼす影響を確認する(3) NMUの欠損が他の神経ペプチドの発現に及ぼす影響を明らかにする の3つを予定していた。(1)、(2)は実験は終了しており、また、(3)に関しても(2)の実験と同時進行で検体を採取が終了している。以上から、概ね順調に遂行できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果から、NMUはIgE依存性のアレルギー反応を抑制している可能性が示唆されている。そこで、(1) NMUによるIgE依存性アレルギー反応の抑制を直接的に明らかにするために、 NMU-/-の足蹠にハプテン特異的IgEを局注後ハプテン誘発による即時型反応 (ITH)を検討する。(2) NMUとIgEの関係を肥満細胞を中心として検討を加える。肥満細胞に発現する各種レセプターの遺伝子改変マウスを用いてITHを比較検討する。これにより、NMUとIgEの関係を肥満細胞活性化という観点から明らかにしたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記に記載したように、主にマウスを用いた実験を行う予定である。具体的にはC57BL/6やNMU-/-マウス、各種遺伝子改変マウス(主にTLR knock-outマウス)を用いマウスの購入および試薬の購入に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)