2011 Fiscal Year Research-status Report
新規の皮膚由来抗菌物質であるcatestatinの皮膚の自然免疫調節機能
Project/Area Number |
23591655
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
ニヨンサバ フランソワ 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60365640)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | ケラチノサイト / 皮膚免疫 / 抗菌ペプチド / 自然免疫 / マスト細胞 / 好中球 |
Research Abstract |
皮膚には種々の抗菌物質が存在し、微生物感染から生体を守るために重要な働きをしている。これらの抗菌物質の中で、ヒトβ-デフェンシンやLL-37などが注目され、様々な皮膚疾患の病態に関与することが知られている。我々と他の研究者は、上記の抗菌物質が抗菌作用のみならず、幅広い免疫調節機能を持つことを見出した。近年、皮膚が産生する新規の抗菌物質であるcatestatin が報告された。しかしながら、catestatinの皮膚の自然免疫調節機能は詳細な検討はなされていない。そこで、catestatinのケラチノサイト、マスト細胞と好中球に及ぼす様々な細胞機能活性化、創傷治癒などの機能を検討した。その結果、catestatinとcatestatin由来ペプチドがケラチノサイトのサイトカインやケモカイン産生、遊走作用と増殖を誘導した。さらに、これらのペプチドが創傷治癒を促進した。また、catestatinペプチドがケラチノサイトの細胞内カルシウムの動員を誘導し、さらに、細胞周期の調節に関与することがわかった。Catestatinの作用メカニズムを調べたところ、これらのペプチドがGタンパク質、ホスホリパーゼC、皮成長因子受容体(EGFR)、Akt/PI3キナーゼとMAPキナーゼの経路を介して、ケラチノサイトに作用することが明らかとなった。これらの結果は、皮膚が産生する殺菌物質は体内で単に抗菌物質として働くだけでなく、皮膚の細胞を活性化することによって皮膚の感染防御、炎症反応と自然免疫に関与する可能性があると考えられる。また、皮膚の障害によって放出されるcatestatinを介したヒトのケラチノサイト活性化機構が神経-免疫相互作用による皮膚の炎症やアレルギー疾患の病態の形成に新たに関与する可能性を示唆するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
23年度の計画での(1)catestatinの刺激によるケラチノサイトからのサイトカインや ケモカインの産生作用、(2)ケラチノサイトに対する遊走作用、(3)増殖と分化に及ぼす影響と(4)ケラチノサイトにおけるcatestatinの発現を明らかににし、論文で発表した。さらに、24年度の計画で予定していた「catestatinの創傷治癒に及ぼす影響」も明らかにした。従って、当初の計画以上に進展していると自己評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後は、(1)catestatinの血管新生因子の発現や産生に対する作用、(2)catestatinのin vivo血管新生機能に対する作用と(3)catestatinに対する特異的レセプター検索と同定を検討する予定。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:1, 150, 000円、旅費: 150, 000円、その他(論文の校閲、印刷費、論文投稿料など):100, 000円。合計1, 400, 000円。
|
Research Products
(6 results)