2012 Fiscal Year Research-status Report
新規の皮膚由来抗菌物質であるcatestatinの皮膚の自然免疫調節機能
Project/Area Number |
23591655
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
ニヨンサバ フランソワ 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60365640)
|
Keywords | ケラチノサイト / 皮膚免疫 / 抗菌物質 / 自然免疫 / マスト細胞 / 好中球 |
Research Abstract |
皮膚由来抗菌物質の中で、β-デフェンシン、LL-37、ソラヤシンなどが注目され、様々な皮膚疾患の病態に関与することが知られている。我々は、上記の抗菌物質が抗菌作用のみならず、幅広い免疫調節機能を持つことを見出した。近年、皮膚が産生する新規の抗菌物質であるcatestatin が報告された。平成23年度は、catestatinがGタンパク質、EGFR、Akt/PI3KとMAPKの経路を介してケラチノサイトのサイトカインやケモカイン産生、遊走作用と増殖を誘導し、さらに、創傷治癒を促進することを報告した。平成24年度は、catestatinの血管新生機能に対する作用を調べたが、効果を見られなかった。また、catestatinの特異的レセプターの同定はできなかった。代わりに、catestatinのケラチノサイトでの発現機構とLL-37のケラチノサイトに対する作用を調べた。その結果、IL-36α、β、γがcatestatinではなく、ソラヤシンとLL-37の遺伝子発現やタンパク産生量を促進することを明らかにした。また、IL-1βおよび各IL-36サイトカインを併用すると、ソラヤシンおよびLL-37の産生は、さらに相加的に高また。さらに、作用メカニズムとして、MAPKとNF-κBのシグナル伝達経路が関与することが分かった。また、LL-37がケラチノサイトを活性化し、炎症を調節することを見出した。 上皮細胞に様々な刺激で誘導される抗菌物質が種々の細胞を活性化することに注目が集まっているが、今回の結果は、乾癬などの皮膚疾患で過剰に発現しているIL-36がケラチノサイトを活性化し、抗菌物質の産生を促進することを初めて明らかにしたものである。これらの結果は、様々な皮膚疾患で過剰発現するソラヤシンやLL-37の産生のメカニズムを明らかし、これら皮膚疾患の病態を理解する上で重要な知見となり得る。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の計画での①catestatinの血管新生因子の発現や産生に対する作用、②catestatinのin vivo血管新生機能に対する作用と③catestatinに対する特異的レセプター検索と同定を調べたが、効果を見られなかった。代わりに、catestatinと他の抗菌物質のケラチノサイトでの発現パターンを検討し、論文で発表した。また、LL-37のケラチノサイトに対する炎症調節作用も論文で発表した。従って、おおむね順調に進展していると自己評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後は、①catestatin以外の皮膚由来抗菌物質のケラチノサイトに及ぼす影響、②catestatinのヒトマスト細胞や好中球などの細胞に対す作用と③他の皮膚由来抗菌物質のヒトマスト細胞や好中球に対す作用を検討する予定。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:750, 000円 旅費: 150, 000円 その他(論文の校閲、印刷費、論文投稿料など):100, 000円。 合計:1, 000, 000円。
|