2012 Fiscal Year Research-status Report
インドシアニングリーン-金ナノ粒子結合体を用いた腫瘍および脈管病変の診断治療技術
Project/Area Number |
23591663
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
東 隆一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (00531112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清澤 智晴 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 准教授 (90221217)
守本 祐司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (10449069)
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Keywords | インドシアニングリーン / 金ナノロッド / 近赤外レーザー / 血管腫 |
Research Abstract |
血管腫や皮膚悪性腫瘍に選択的に集積する光応答性物質とそれを励起するのに適したレーザー照射を組み合わせ、腫瘍のみを破壊し、周囲組織の損傷を最小限に抑えられる理想的な治療法の確立が期待されている。本研究ではインドシアニングリーン(ICG)や申請者らが開発を進めてきた金ナノロッド(GNR)を用いて、ICG-GNR複合体を構築し、近赤外光を利用した光診断および治療技術を確立することを目的とした。23年度は、ニワトリのトサカやラットの腹壁皮下血管に対して、ICGとGNRそれぞれを静脈内注射後、レーザー照射により組織破壊に十分な熱を発生するか検証を行った。いずれも現実的に投与可能な用量で、レーザーによる組織破壊や血管閉塞をもたらすことが確認できたが、表皮に損傷を与えず深部組織のみを傷害することはできなかった。そこで24年度から、ラットの皮筋を対象として、ICG静注後近赤外レーザーを照射し、局所の血管透過性が亢進した状態でGNRを静注、さらに近赤外レーザーを照射し、深部組織のみを選択的に破壊することができるかどうかの検証を始めた。 実験動物はヘアレスラット、対象部位は背部の皮膚および皮筋である。 ① ICGを静注したのち、24年度から導入した出力60W、波長800nµmの半導体赤外線レーザーを照射する。これにより局所血管透過性の亢進が期待できる。 ② 直ちにGNRを静注。上記照射部位にGNRが蓄積する(EPR効果)。 ③ 24時間後、上記照射部位に再度近赤外レーザーを照射する。 以上を組織学的に検討し、深部組織のみを傷害する適切な条件、EPR効果の有無や臨床応用の可能性を検討する。現在実験途中であるが、ICG静注後のレーザー照射によりGNRの蓄積が促進されることはほぼ明らかとなった。しかし、表皮を傷害せず深部組織のみを破壊する再現性のある治療条件は確立していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ICG注射後レーザー照射による血管透過性亢進、GNRの局所蓄積についてはほぼ明らかとなったが、引き続き行われる再照射で表皮の損傷を避けられる条件が定まっていない。今後レーザーの照射距離や皮膚表面温度、体毛の有無などの条件を厳密に管理し、必要な実験回数を重ねることにより達成可能と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1 ICG静注後のレーザー照射によるGNRの局所蓄積効果(EPR効果)は確認できたので、本照射における適切な条件を確立する。具体的には、レーザー出力、パルス幅の最適化、照射距離の一定化、皮膚冷却の必要性の検討、体毛の有無による影響の検討などである。 2 当初の目標であった皮膚悪性腫瘍や血管性病変の治療手段としての可能性を検討する。組織学的検討では深さ2~4mmに存在する皮筋の壊死や皮下血管の閉塞が確認できているため、血管性病変への適用可能性は高いと考えられる。悪性腫瘍に関してはより確実な組織破壊が必要とされるため、GNRがレーザー照射だけでなく放射線照射効率に与える影響を検討する方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物や試薬(ICGとGNR)、レーザーファイバー及び固定器具、検体採取用の器械の購入に当てる。また、研究に関する情報収集や成果発表のための学会参加費、外国語論文の校閲や論文投稿量への支弁も予定している。
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