2012 Fiscal Year Research-status Report
アディポカインと糖尿病関連遺伝子を用いた抗精神病薬誘発性糖脂質代謝異常発症の予測
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23591670
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 雄太郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60377158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
染矢 俊幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50187902)
福井 直樹 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90535163)
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Keywords | 抗精神病薬 / 糖脂質代謝異常 / アディポカイン / 肥満 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
本研究の目的は抗精神病薬(AP)の副作用である肥満、メタボリックシンドローム(MetS)、糖脂質代謝異常発症の薬剤間差及びそれらの発症の予測因子を同定することである。平成24年度は以下のことを明らかにした。 ①入院統合失調症患者と健常者でMetSの有病率を比較した所、2群間に差はなかったが、MetS構成因子の中で最も重要であるウエスト径は患者群で大きく、APによるMetS発症の予防にはウエスト径の管理が重要であることが示唆された。 ②AP内服中の統合失調症患者群と健常者で糖負荷試験を行った所、空腹時血糖は健常群で高かったものの、糖負荷後の血糖値及びインスリン値は患者群で高く、AP内服患者では空腹時血糖では予想できない耐糖能異常が進行している可能性が示唆された。 ③AP内服中の統合失調症患者群と健常者で内臓脂肪から分泌される各種アディポカインの血中濃度を比較した所、患者群でレプチンは高く、アディポネクチンは低かった。この結果からアディポカインが肥満や糖脂質代謝異常発症の予測マーカーになる可能性が示唆された。 ④体重をマッチさせたAP内服中の統合失調症患者群と健常者で、各脂質パラメータを比較した所、LDL-cや中性脂肪に差はなかったがHDL-cは患者群で低く、AP内服はHDL-cを介して肥満やMetS発症に影響する可能性が示唆された。 ⑤膵臓からのインスリン分泌に影響を与えるGIP受容体の遺伝子多型がolanzapineによる耐糖能異常発症の予測因子になる可能性を示した。今後、遺伝子変異同定により、薬剤投与前に糖尿病発症のリスクを回避できるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度末までに入院中の抗精神病薬内服患者200名及び外来患者100名のサンプリングを終了しており、研究計画は順調である。また、既に解析結果を海外誌に多数発表し、本邦における同分野の研究における功績が認められ、学会シンポジウムへの招聘及び学会賞を受賞するなど、国内外での評価も高い。以上より、研究目的の達成度は高いと考えられる。一方、遺伝子多型解析は遅れており、平成25年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプリングを続ける一方、遺伝子多型と臨床情報との関係を重点的に解析していく。また、これまで発表していない解析結果を論文化し順次、海外誌へ投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子多型同定のための実験及び論文校正・投稿費用、各学会参加旅費などに使用する予定。
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Research Products
(14 results)