2015 Fiscal Year Annual Research Report
児童・青年期の双極性障害に関する臨床的、疫学的研究
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23591688
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
傳田 健三 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10227548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 猛 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70250438)
田中 輝明 北海道大学, 大学病院, 講師 (00374447)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 双極性障害 / うつ病 / 児童期 / 青年期 / 発達障害 / 併存障害 / 治療アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
児童・青年期の双極性障害の治療アルゴリズムを、文献的に検討した。まず、躁病エピソードに対するアルゴリズムを検討する。最近のプラセボを用いた大規模なプラセボを用いたランダム化比較試験(RCT)において複数の非定型抗精神病薬(アリピプラゾール、リスペリドン、クエチアピン)が躁病エピソードに対して有効であるとのエビデンスが得られた。一方、気分安定薬に関しての有効性は、炭酸リチウムでは小規模なRCTでの効果が確認されているが、その他の薬剤ではRCTでの効果が確認されていない。バルプロ酸のように成人で有効性が示されている薬物でも子どもではエビデンスが得られていない。 Leibenluftらは、児童・青年期双極性障害の薬物療法アルゴリズムを作成した。ステップ1として、リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピンの中から選択する。この場合、選択する薬剤は子どものその時の状態像に応じて考慮すべきである。もし、第一選択の薬物が有効であれば、副作用をチェックしながら維持療法を継続し、次のステップ2へ進む。第一選択の薬物がやや有効(部分反応)ならば、第二抗躁薬の増強療法を考慮する。第一選択の薬物が無効または不耐性の場合は、他の抗躁薬へ変更する。ステップ2としては、関連する病態の評価と治療を行う必要がある。躁状態が改善してもADHDの状態が重篤ならば精神刺激薬(メチルフェニデートあるいはアトモキセチン)を考慮する。さらに、うつ病や不安障害が併存する場合には、SSRI、リチウム、ラモトリジン、非定型抗精神病薬などを考慮する。 精神療法としては、①心理教育、②症状のマネージメント、③対処技術(coping skills)の習得・向上、④家族および社会との関係の構築・改善、⑤学業および職業における機能の改善・維持、⑥再発予防を行っていくことが重要である。
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[Presentation] 「子どものうつ病」再考2015
Author(s)
傳田健三
Organizer
第56回児童青年精神医学会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
Year and Date
2015-09-29 – 2015-10-01
Invited
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