2011 Fiscal Year Research-status Report
バイオロジカルモーションと背景視野は脳内で統合されるのか?臨床応用への基礎的検討
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23591689
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮本 環 北海道大学, 保健科学研究院, 特任准教授 (20271679)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | バイオロジカルモーション / 機能的磁気共鳴画像 / 社会知覚 / 社会認知 |
Research Abstract |
H23年度には、研究計画に従い実験1:バイオロジカルモーション歩行者を見ている時に背景視野の動きの方向のコヒーレンスを変化させた時に活動が変化する脳部位をfMRIを用いて検証した。本年度は計23名で測定を行った。それと並行して実験2:バイオロジカルモーション歩行者を見ている時に背景視野の動きの速度変化させた時に活動が変化する脳部位をfMRIを用いて検証した。本年度は15名で測定を行った。元々の計画では実験1のみを本年度に行う予定であったが、実験1に参加した被験者に実験2にも参加してもらうために研究の予定を変更した。両実験あわせて計38名で測定を行った。現在解析を進めている最中であるが、まだ十分な被験者数が揃っていない段階である。中途の結果であるが実験1では16名での解析を行い大脳皮質の下頭頂小葉、中後頭回などにバイオロジカルモーションと背景視野の動きの方向のコヒーレンスの変化により活動が変化する部位を同定している。現時点では確定的な所見とは言えないが、大脳皮質にバイオロジカルモーション歩行者の歩行方向と背景の動きのコヒーレンスの組み合わせで活動が変化する部位が存在することより、バイオロジカルモーションによる視覚情報と背景の動きの視覚情報が統合されているという研究代表者の仮説を証明する証拠が得られつつあると言える。この所見はこれまでに報告がなく、高次の視覚情報処理の機能解剖に新たな知見を与える可能性が高く、その意義は小さくないと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はバイオロジカルモーション(人間等の生物の動き)と背景視野の動きの情報を統合する脳部位の機能的特性を機能的磁気共鳴画像(fMRI)法を用いて明らかにすることである。現時点で予定していた2実験のうち、一つ目の実験で上記の異なる視覚情報を統合していると思われる脳部位のマッピングは達成しつつある。まだ、被験者数が十分では無いので詳細な所見は得られていない段階である。2つ目の実験もすでに着手しており、着実に被験者数を増やしている段階である。全体として研究の進展状況は予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今のところ順調に研究が進んでいるので、今後も実験1,実験2を並行して進める。良好なデータが得られた被験者が解析に十分な数(20人以上)になるまで実験を継続する。解析結果により予想される結果が得られなかった場合は実験課題の変更を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は経費の節減および予定していた液晶ディスプレイの購入を延期したことにより159610円の残額が生じた。使用残は次年度に物品費および旅費に使用する予定。次年度はこれを併せて研究費は総額1359610円となる。次年度は物品費として299610円、旅費として400000円、人件費として60000円、その他として600000円を使用する予定である。
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