2012 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病に関連する新規APLP2由来脳脊髄液中ペプチドの解析
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23591704
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柳田 寛太 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70467596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 正康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90335357)
田上 真次 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40362735)
児玉 高志 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30512131)
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Keywords | 脳神経疾患 / アルツハイマー病 / アミロイドβ |
Research Abstract |
平成23年度に脳内のAPLP2はβAPPやAPLP1と同様にβ-及びγ-セクレターゼによって切断され、3種類のAβ様ペプチドAPL2β35、APL2β38、APL2β39を生成するが、培養細胞にAPLP2を過剰発現させるとα-セクレターゼによって切断されたN末側が短いAPL2βが多く生成することを明らかにした。今回、脳脊髄液中と同じAPL2βを産生する培養細胞を作製するため、β-セクレターゼで切断されたAPLP2断片(APLP2 β-CTF)の遺伝子を、HEK293細胞に導入した(APLP2 β-CTF/HEK細胞)。この細胞の培養上清をAPL2βに対する抗体で免疫沈降後MALDI-TOF 質量分析器で解析(IP-Ms)すると、APL2β38や APL2β39が多く検出されたが、脳脊髄液で最も多いAPL2β35はあまり検出されなかった。脳内ではAβはネプリライシンやIDE等のエンドペプチダーゼによって切断される事から、APL2β35もAPL2β38やAPL2β39がエンドペプチダーゼで切断されて生成するのではないかと考え、ネプリライシンとIDEの遺伝子をAPLP2 β-CTF/HEK細胞に導入した。培養上清中のAPL2βをIP-Msで測定すると、IDEを発現させた細胞では変化はなかったが、ネプリライシン発現細胞ではAPL2β35が大幅に増加していた。また、APL2β38、APL2β39を化学合成し、recombinantのネプリライシン、IDE、ACE、ECE-1と37℃で反応させると、ネプリライシンのみAPL2β35が生成した。この結果から、脳内のAPLP2はβ-及びγ-セクレターゼによって切断されてAPL2β38、APL2β39が生成し、さらにネプリライシンで切断されてAPL2β35が生成することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳脊髄液中のAPL2βと培養細胞が産生するAPL2βではN末側もC末側も切断部位が異なっていたが、N末側の違いはα-セクレターゼとβ-セクレターゼによるもの、C末側の違いはネプリライシンによって切断されるためであることを明らかにした。この結果から脳内のAPLP2はβ-及びγ-セクレターゼによって切断されてAPL2β38、APL2β39が生成し、さらにネプリライシンで切断されてAPL2β35が生成するという脳脊髄液中のAPL2βの産生メカニズムが考えられる。 ネプリライシンは加齢とともに活性が減少し、ネプリライシン欠損マウスの脳ではAβが2倍多く蓄積することが報告されている。今回の結果からAPL2β35もネプリライシン活性の低下とともに産生が減少することが考えられ、脳脊髄液中のAPL2β35産生は脳内のネプリライシン活性の代替マーカーとなることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
APLP2 β-CTF/HEK細胞にβAPPとネプリライシンを発現させ、Aβの分解とAPL2β35産生に相関があるのかを調べる。そのためにELISAやLC-Ms等のAPL2βを定量する方法を確立する。 APL2βが脳に蓄積しないのであれば、脳脊髄液中のAPL2βは脳内のネプリライシン活性のマーカーとなる可能性が考えられる。APL2βが脳に蓄積しているのかを調べるために、ヒト脳をSDS及びギ酸で可溶化し、Western Blot法でAPL2βを検出する。また、APL2β35、APL2β38、APL2β39の合成ペプチドをAβがfibrilを形成する条件下で反応させ、電子顕微鏡、サイズ分画クロマトグラフィー、チオフラビンアッセイでfibrilを形成するのかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特に高額な備品を購入する予定も無く、主に消耗品の購入に使用する。
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