2013 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の認知機能障害に対する認知矯正療法の効果に関する無作為化対照比較試験
Project/Area Number |
23591707
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
中込 和幸 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 病院臨床研究推進部, 部長 (30198056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
最上 多美子 鳥取大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80368414)
兼子 幸一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50194907)
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Keywords | 認知矯正療法 / 近赤外線スペクトロスコピー / 統合失調症 / 認知機能障害 / 神経心理検査 / 脳画像法 |
Research Abstract |
認知矯正療法(NEAR)のRCTを継続したが、平成23年度に研究代表者が転勤したためと、おそらく患者側の研究デザイン(ランダム化)に対する抵抗感から、サンプル集積ははかどらなかった。一方、RCTに並行して、希望者が全員参加できる前後比較および通常治療群との比較を行うquasi-experimentalデザインを用いて、認知機能および近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いた前頭部での血液量変化に対するNEARの効果を検証した。 RCTでは、実施群については6か月間NEARを実施、待機群は最初の3か月は通常治療、その後の3か月はNEARを実施する。現在、NEARを修了した者がNEAR実施群で4名、NEAR待機群で3名、進行中の者が3名である。まだ、統計解析ができるサンプル数には至らないが、両群ともNEAR実施前後で改善する傾向が認められる。 前頭部での血液量変化に関する研究では、19名の統合失調症あるいは統合失調感情障害患者を対象に6か月間NEARを実施し、その前後で認知機能評価および作業記憶課題施行時のNIRSによる前頭部の血液量変化を測定した。練習効果等の影響を考慮し、12名の通常治療を受けている患者に、6か月間の通常治療期間前後で同様に測定し、群間で比較を行った。その結果、運動機能、遂行機能および総合評価において通常治療群に比してNEAR実施群で有意な改善効果が認められた。また、前頭部での血液量変化については、通常治療照群に比してNEAR実施群で右前頭極部で有意な血液量変化の増大が認められた。さらに、NEAR実施群において、言語記憶機能の改善と右前頭側頭部での血液量変化の増大、言語流暢性の改善と右前頭極部周辺の血液量変化との間に正の相関が認められた。NEARは前頭部での神経活動を活性化する効果を介して認知機能の改善をもたらす可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)