2011 Fiscal Year Research-status Report
認知症でみられる作話・取り繕い、妄想の客観的臨床指標の作成とバイオマーカーの確立
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23591711
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
谷向 知 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90361336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 竜治 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60346682)
松本 光央 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (20581094)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 前頭側頭葉変性症 |
Research Abstract |
認知症の専門外来を受診した新規の患者を対象に、神経心理学的検査、画像検査(形態画像、機能画像)を実施した。アルツハイマー型認知症と診断された17例では、(1)作話・取り繕いを認めるもの8例、(2)もの盗られ妄想を認める4例、(3)両者とも認めない5例であった。一方、前頭側頭葉変性症の4例では、(1)作話・取り繕い反応と考えられるもの2例、(2)もの盗られ妄想を認めるもの なし、(3)両者とも認めない2例であった。ここでは、アルツハイマー型認知症で作話・取り繕いともの盗られ妄想の両者を有するものはカウントされていないが、これに当たるものが12例と最も多くみられた。これまで、アルツハイマー型認知症でみられるもの盗られ妄想と作話との関連が考えあられるとともに、この点について焦点をあてた研究は多くなくないため、次年度の検討事項としたい。前頭側頭変性症では、著しく病識を欠き、取り繕いもみられないことが特徴とされているが、初年度の結果からは症例数は少ないにしても、前頭側頭葉変性症においても半数で取り繕いと解釈できる反応がみられた。この反応がみられたものは、すべて意味性認知症であり、前頭側頭型認知症では従来通り取り繕いはみられず、臨床分類の亜型を含めた検討が必要であると考えられた。アルツハイマー型認知症においては全般的に、3群間で日常記憶チェックリスト、遂行機能障害質問表のスコアは家族に比べで対象者の自己評価が低かったが、前頭側頭葉変性症で取り繕い反応ありと判断できる群では、むしろ家族評価の方が下回っていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、薬物の影響が出ないと予想される新規対象者からのエントリ-計画していたが、初診時から何らかの薬剤を服用しているケースが多いため、当初予定していたよりもエントリーが進まなかった。次年度は、薬物使用歴の有無を問わずに対象者を広げたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
作話・取り繕い、もの盗られ妄想の客観的評価バッテリーの妥当性の検討するとともに、その妥当性について検討を加える。また、オキシトシン血中濃度と各精神症状との関連についての作話やもの盗られ妄想といった精神症状を認めない前頭側頭葉変性症を中心とした認知症と健常者のオキシトシン血中濃度を測定し、NPIスコアーとの関連も比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度には、初年度の成果を研究会などで報告、情報交換を行う。また主に、本研究で認知症の各精神症状との関連と関連があると考えているオキシトシン血中濃度について使用する。
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