2012 Fiscal Year Research-status Report
自我障害は統合失調症に特異的か?-自我障害の神経基盤研究
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23591712
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鬼塚 俊明 九州大学, 大学病院, 講師 (00398059)
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Keywords | 脳磁図 / 統合失調症 / 自我障害 / 双極性障害 |
Research Abstract |
脳磁図研究では、306チャンネル脳磁計を用いて自己の名前、他人の名前、無意味な文字列を視覚呈示し、反応を記録した。健常対照者20名、統合失調症者20名を対象に行った。刺激提示後190msec-210msec、周波数70Hz-120Hzの範囲の視覚誘発反応Power値に関して、反復測定分散分析を行ったところ、群間と刺激種類との間に有意な相互作用を認めた。post-hoc検定で、健常対照者は、自己の名前>他人の名前>無意味な文字列というパターンだったが、統合失調症者では三つの刺激間でPower値に有意差は認められず、自己の名前という自己関連刺激に対する特異的な反応が失われていた。国際学会にて研究成果を発表した。また、脳磁図を用いた双極性障害のauditory steady-state responseについて、PLoS ONEに研究成果を報告した。現在自己の顔に対する神経振動活動の研究のセットアップを行った。 脳構造研究では、3T MRI装置を用いて、T1・T2・DTI (Diffusion Tensor Imaging)撮像を行った。平成23年度には正常対照者50名、双極性障害者25名、統合失調症50名のMRIを撮像した。得られた画像デジタルデータについて、MATLAB上で動作するstatistical parametric mapping (SPM5)を使用し、voxel based morphometry (VBM)法にて解析を行っている。 以上のようなアプローチにより自我障害の神経基盤を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己の名前に対する神経振動は解析を行い、論文作成中である。統合失調症では自己の名前に対する神経活動の上昇がないことが明らかになり、自我障害の基盤が検索できると思われる。 また、MRI撮像の被験者数は大きく進展した。 自己の顔に対する研究も準備中である。 以上のことから、おおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
自己の顔に対する視覚誘発反応を調べることで、他のモダリティーでも自己関連刺激に対する反応の障害が統合失調症で認められるかを検討する。 自己の名前に対する反応は現在論文作成中であり、研究成果を国際誌に発表する予定である。 MRIについては適宜症例数を増やして行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
解析の補助としてMac Miniを追加で購入する(10万円程度)。国内国際学会に積極的に参加し、研究成果を公表する(60万円程度)。 また、脳磁図使用料金(50万円程度)を計上する予定である。
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Research Products
(9 results)