2012 Fiscal Year Research-status Report
脳磁図を用いた統合失調症の前駆期診断マーカーの開発
Project/Area Number |
23591713
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前川 敏彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40448436)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼塚 俊明 九州大学, 大学病院, 講師 (00398059)
|
Keywords | 初発統合失調症 / 脳磁図 / 視覚情報処理 / ミスマッチ陰性電位 / バイオマーカー / ウインドミル視覚刺激 |
Research Abstract |
【H24年度の研究成果の内容】H25年3月時点で実験に参加した者は以下の通り。 初発統合失調症患者(FES)群:4人,全員右利き,女性2人,男性2人,平均年齢27.5(15~29)歳,慢性期統合失調症(ChS)群:10人,全員右利き,女性5人,男性5人,平均年齢41.6(25~47)歳,健常(NC)群:14人,全員右利き,女性9人,男性5人,平均年齢28.6(21~47)歳) <行動指標結果>質問紙の正答率:FES群:76.5%,ChS群:82.8%,NC群:95.3%.ボタン押しの正答率と反応時間:FES群93.1%,487ms,ChS群:96.9%,481.6ms,NC群:95.3%,5459.3ms.各群の人数,年齢,性などが統制されていないので検定は行っていないが,行動指標ではChS群はNC群よりも劣っている可能性が示唆された。 <脳磁図解析結果>3群とも後頭部に限局して誘発反応を認めた。全被験者において刺激呈示後100~200msの間で逸脱刺激に対する反応の方が標準刺激に対する反応よりも大きく,脳波を利用した先行研究の結果からvMMF成分と同定した。vMMFはChS群では減衰傾向であったが,FES群ではNC群とほぼ同様の振幅を示した。成果の一部は,国際学会,学術論文等で発表した。 【H23年度の研究成果の意義】ChS群はNC群よりも行動パフォーマンスが劣り,vMMFも減衰していた。FESではvMMFに反映される視覚情報自動処理過程は統合失調症が進行する過程で障害される可能性が示唆された。 【H23年度の研究成果の重要性】vMMFを計測して統合失調症の視覚情報自動処理過程の異常の有無を検討し,病期の進行に従ってvMMFの減衰傾向を認めた。vMMFは統合失調症のバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、初発統合失調症群、慢性期統合失調症群、健常コントロール群、各15人を登録予定であったが、実際には予定人数に到達しなかった。特に、初発統合失調症群の登録が4名と進まなかった。従って、平成24年度は予定より研究の進行は遅れていた考えている。 ただし、得られた結果については予想通りなので研究の目的はある程度達成された。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度もっとも困難であったのは、初発統合失調症群の登録であった。初発統合失調症の登録について募集パンフレットを作成し、関連病院からの募集も進めているところであるが引き続き,被験者登録を進めていく。慢性期統合失調症群、健常群についてもこれまで同様登録を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験データ保存用ハードディスク50万円,実験被験者協力金20万円,MEG計測機器使用料60万円,旅費20万円,その他(消耗品・印刷費等)10万円。
|