2011 Fiscal Year Research-status Report
前頭側頭葉変性症における食行動異常の神経基盤に関する研究
Project/Area Number |
23591718
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
池田 学 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (60284395)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 衛 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20452881)
平井 俊範 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (40274724)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 老年精神医学 / 神経回路 / 食行動 |
Research Abstract |
本年度は、熊本大学医学部附属病院神経精神科若年性認知症外来を受診した連続例の中で、FTLDの国際診断基準(Neary et al, 1998)を満たした前頭側頭型認知症(FTD)10症例と意味性認知症(SD)20症例ならびに対照群として年齢、性別、認知症の重症度を統制したAlzheimer病(AD)、レビー小体型認知症(DLB)、健常ボランティアに対し、各種認知機能検査(MMSE、CDR、FABなど)、食行動評価尺度を含む精神症状評価尺度(NPI、SRIなど)を実施し、これらをデータベースに蓄積した(画像も加えたデータベースは、前向きに平成19年から登録を続けている)。また、関連精神科病院の専門外来受診例も登録し、中等度から重度の症例のデータベースも構築を開始した。 食行動異常に関しては、我々が開発した食行動異常評価尺度(Ikeda et al, JNNP, 2002)を用いた。本尺度は、介護者に対して嚥下、食欲、嗜好、食習慣、他の食行動の5つの領域からなる37の質問からなり、頻度と重症度が算出可能で、すでに多くの認知症に関する研究で用いられている。 MRI画像に関しては、当院放射線科との共同研究で、T1,T2強調画像だけでなく、SWIやMRS、拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging ; DTI)を含む認知症研究用セットを構築し、認知症専門外来受診例全例に実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は、食行動異常だけでなく、認知機能、精神症状、MRIなどのデータを含む包括的なデータベースの構築であり、コントロールも含め、ほぼ目標症例数のエントリーが達成できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
症例の蓄積とデータベースへの登録を続ける。また、FTLDにおいて障害される食行動異常の神経基盤を明らかにする目的で、各々の食行動異常とFTDならびにSD例の脳の機能低下ないし白質神経線維の異常部位ならびに認知機能障害や他の精神症状との関連を検討する。すなわち、VBMを用いた既報の2研究とこれまでの動物実験などからの知見を合わせて、前頭葉眼窩面、側頭極、島回、扁桃体、視床などを廻る神経線維の異常を検討する。合わせて、SPECT画像と演算ソフト(MATLAB)を用いてSPMによる統計画像解析を平行して実施し、両手法の組み合わせ各々の食行動異常の神経基盤を検索する。評価尺度による各種食行動の異常と神経基盤との関連については統計ソフト(SPSS)を用いて検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度データベース入力済みの臨床疫学データは、国内外の学会で発表するとともに、英語論文化するため、旅費と英文校正の費用が必要である。関連病院の中等度ないし重度例の検査は、各々の病院に依頼するため、謝金と人件費が派生する。統計画像解析を開始するため、各種解析ソフトを購入する。
|
Research Products
(11 results)